2025年12月27日、東京国際フォーラムホールCにて『サムシング・ロッテン!』を観劇(3時間10分、休憩込み)。以下、ネタバレ注意です。 1595年のロンドンを舞台に、シェイクスピアとライバル作家のニック・ボトムの物語が展開されるミュージカルです。史実、シェイクスピア作品、そしてフィクションが入り混じった作品です。2018年に 日本初演 を観てから、楽しみにしていた再演でした。 イギリス・ルネサンス時代をたどれるあらすじと、現代日本の演劇・ミュージカル界をたどれる演出(小ネタ?)で、それらに興味がある人は笑ったり頷いたりしながら観られる作品だと思います。日本初演の時からそう思っていたのですが、今回は演劇やミュージカルへの言及に変化が見られ、7年分のアップデートを感じました。例えば、舞台あるあるが列挙される場面で、今回はハリー・ポッターを思わせる台詞がありましたが、2018年の上演時にはなかった台詞だと記憶しています。これは、舞台ハリポタが2018年には日本未上陸だったからだと思います。また、帝国劇場を思わせる台詞もありましたが、今回の上演では「劇場が…ない?5年後?」という台詞が追加されていました。今年らしい演出だと思いました。 さらに、最近の作品への言及だけでなく、それらを楽しむ観客の様子も反映されていたと思います。『サムシング・ロッテン!』には、ナイジェルという詩人と、ポーシャという清教徒の娘が登場し、二人は恋に落ちます。二人ともシェイクスピアが大好きなのですが、今回の上演では、恋仲でありながら推し活仲間でもある二人に見えました。2018年の上演時にはそのような印象を受けなかったので、今の推し活文化を反映した演出だと思いました。他の国では見られない演出家も、とも思いました。 普段、再演を観劇する時には「新しいことに気付けた自分、成長したなぁ」と思って嬉しくなることが多いです。今回はそのような内側を向いた感想ではなく、演劇・ミュージカル界の変化や人の変化を感じられるものでした。