Rena Endo

2024年10月19日、調布市せんがわ劇場で『ドクターズジレンマ』を観劇（2時間35分、休憩込み）。以下、ネタバレ注意です。 タイトルの通り、医者のジレンマを描く作品でした。治療を施せる人数が限られている中、救う価値のある人間は誰か、選択を迫られる医者が登場したからです。実はこの医者の決断は早く、ジレンマと言うほど葛藤する様子はあまりないのですが、周りの人物との対話の中で様々な意見が出るので、観客の方が「誰の命を救うべきか」「そもそも命の価値を天秤にかけるべきではない」「医者には倫理的であってほしいが、救える人数は限られている」などと考えてしまう仕掛けがあったように思います。そういった意味で、ジレンマを中心に展開される作品であり、そこに様々な考え方があるからこそ（登場人物の信念も観客の意見も含めて）、人間を俯瞰して見たような作品だと思いました。 (Caution: contains a spoiler.) On 19 October 2024, I saw and heard The Doctor's Dilemma by George Bernard Shaw at Chofu City Sengawa Theater in Tokyo. As the title shows, it is a story about a dilemma. In the plot, a doctor has to decide which patient to save with the limited capacity of medication. In other words, it's to judge who is worth living and who is not. Actually, the doctor makes up his mind pretty soon, so he doesn't seem to have a dilemma. However, conversations with other characters make audiences think seriously - who to save, whether it's unethical to compare people's lives, whe...

2024年10月5日、三越劇場にて『ゼロ時間へ』を観劇（2時間50分、休憩込み）。アガサ・クリスティーの小説を舞台化したものでした。 日本で上演される機会は少ない作品とのことですが、私は2019年に シドニーで観劇 していました（なんてラッキーな！）。今回の上演の、登場人物の衣装の色や、表情やちょっとした仕草などが、以前観劇した時のものと似ていたので、懐かしい気持ちになりました。 意外性がないからつまらないというのではなく、何故似ているのかを考えるのは面白いことです。私としては、典型的な登場人物が多いために、劇団や劇場が異なっていても似るのかな、と思いました。例えば、スポーツ万能でお金持ちのプレイボーイ、知的で心優しい女性、若くて活発な美人、昔ながらのところがある老婦人、などです。もちろん台詞には人間味があり、演技や演出によって深みを持たせることはできますが、その登場人物を形容する表現が決まっているために、異なる上演でも類似点が見られるのではないかと思いました。 そのような「あるある」を見つけるのが好きなので、クリスティーやシェイクスピアなどが好きだったりします。 On 5 October 2024, I saw and heard Towards Zero at Mitsukoshi Theater in Tokyo. It was a stage version of Agatha Christie's novel. Performing the play is rare in Japan, but I saw the one in Sydney in 2019 . Then I compared the two and found some similar points, such as colours of costumes and actors' expressions.  I don't say it was typical and boring. Rather, it is interesting to think why they were similar. I think that's because the play has stock characters, such as a rich and handsom...