2021年10月8日、Shakespeare's GlobeにてRomeo and Julietを観劇(1時間50分、休憩なし)。現代化された上演でした。衣装や小道具が現代風というだけでなく、現代の若者が抱える心理的不安や社会問題を突き付けてくるような上演でした。胸が痛かったけれど、こんなロミオとジュリエットもあるのかと驚き、観ることができて良かったです。(以下、ネタバレ注意です。)
ジュリエットはボクシングをしながら登場し、バルコニーのシーンでは現代風の歌を歌うという、今時なおてんば娘という感じがしました。いずれの場面でも、喜劇かと思うくらい、観客の笑いを誘っていました。だからこそ、その後の悲劇への転落が、落差によって胸が痛くなるのだと思いました。
ロミオの人物造形で一番驚いたのは、ティボルトへの復讐の場面です。原文ではマキューシオが刺された後、命を落としたと知らされてロミオはティボルトを刺してしまいます。しかし今回の上演では、マキューシオが刺されてすぐにティボルトを刺すので、ロミオは喧嘩っ早いようにも見えました。
そんなカップルなので、前半は現代のティーンエイジャーによる恋の話のようだと思いました。しかし後半、特に二人が自ら命を絶つ時には、実行するまでがスピーディーで、他の選択肢を奪われた若者の閉塞感が見えました。身近なところで起こりそうな話のようにも見えたので、まさに「芝居は鏡」だと思いました。
衣装や雰囲気を現代風にする上演は何度か観たことがありましたが、テーマまで現代に寄せて突き付けてくるような上演は初めて観ました。そういった意味で、ユニークな上演だと思いました。