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The Magician's Elephant at Royal Shakespeare Theatre

2021年10月19日、Royal Shakespeare TheatreにてThe Magician's Elephantを観劇(2時間50分、休憩込み)。家族向けのミュージカルと宣伝されていましたが、子供っぽいということはなく、笑いあり感動ありの良い作品でした。
孤児だと言われていた少年が、実は妹が生きているかもしれないと知り、妹を探す物語です。きょうだいの再会というプロットは『十二夜』や『間違いの喜劇』を思わせるところがありました。他にもシェイクスピア作品のオマージュのように思えるところが多くあり、シェイクスピア好きにはたまらないものでした。例えば警官たちのドタバタは『から騒ぎ』のドグベリーとヴァ―ジスのように見え、何かが起こりそうな前触れの怪しげな気候は『ジュリアス・シーザー』や『マクベス』のようで、高慢な伯爵夫人は『夏の夜の夢』のティターニアに見え、地位を気にする(けれど笑いものにされる)伯爵は『十二夜』のマルヴォーリオのようで…などなど。プロットは作家が書いたものなので、どこで上演しても誰が演出しても『十二夜』や『間違いの喜劇』に似ると思いますが、それ以外の要素はロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが上演したからこそシェイクスピア作品に似て見えたのかなと思いました。今回が初演という新作だそうですが、今後もし他で上演されるなら観に行って比較してみたいです。

On 19 October 2021, I saw and heard a new musical, The Magician's Elephant at Royal Shakespeare Theatre.
This musical is about a boy, who has been said to be an orphan but actually he is not. He hears that his sister might live and he starts seeking her. The plot about finding a sibling sounds like that of Twelfth Night and The Comedy of Errors by William Shakespeare. In addition, there were other characters and factors which looked like something in Shakespeare's plays. For example, foolish policemen looked like Dogberry and Verges in Much Ado About Nothing, stormy weather like Julius Caesar and Macbeth, an arrogant countess like Titania in A Midsummer Night's Dream, and a count, who was proud and made fun of, looked like Malvolio in Twelfth Night. I think there were such affinities because the performance was produced by Royal Shakespeare Company.



 

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ナツユメ@KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ

2025年6月7日、KAAT神奈川芸術劇場大スタジオにて『ナツユメ』を観劇(1時間50分、休憩なし)。『夏の夜の夢』の翻案でした。 ロボットの少女ヘレナが、恋を知り、夢を見るというプロットで、ヘレナの夢という枠組みの中で物語が進みます。ヘレナは最初、私たちがイメージする典型的なロボットの動き方と話し方をしていて、役者の演技が上手だと思いました。ヘレナが恋を知った後も、基本的にはロボットなのですが、感情が高ぶった時には人間らしい動き方や話し方が見られて、その切り替わりの滑らかさが良いなと思いました。 ヘレナはロボットですが、ハーミアは人間です。そして二人は、シェイクスピアの原作通り、幼馴染みでした。ロボットのヘレナと人間のハーミアがどのようにして仲良くなったのか、物語が始まる以前のことを想像したくなりました。人間とロボットが一緒に暮らす未来が近いからかも、と思ってわくわくしました。 職人たちもロボットという設定でした。ロボットの劇団による演劇があったら面白そうだと思うので、こちらも近い未来を想像して楽しくなりました。シェイクスピアの原作でも「職人たちが公爵の御前で演劇!?」というところが面白いと思うので、意外性を持った劇団という意味では今回の上演における彼らも同じかもしれない、と思いました。 今回の上演で最も印象的だったのは、AIアバターがティターニアを演じていたことでした。「演じていた」と言っていいのか、「インプットされた状態で舞台上に存在していた」と言った方が良いのか、表現は難しいところですが、それだけ新しい試みだということです。人間が演じるロボットのヘレナと、そもそもAIアバターであるティターニアの、理由や効果の違いは何だろう?と考えるきっかけをくれる上演でした。ティターニアは、AIの有無にかかわらず、妖精の女王というだけで人間離れした存在です。そのことを表現するのに効果的な演出だったと私は思いましたが、答えは一つではないとも思いました。好きなように感じ取って良い、という上演だったと思うので、とても興味深かったです。 On 7 June 2025, I saw and heard Natsuyume at Kanagawa Arts Theatre in Yokohama. It was an adaptation of William Shakespeare...

イエローヘルメッツ公演のお知らせ&講演のお知らせ

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ヘンリー四世 第1部@ROCK JOINT GB

2025年5月31日、ROCK JOINT GBにて『ヘンリー四世 第1部』を観劇(85分、休憩なし)。イエローヘルメッツ番外公演として、ライブハウスで、5人の女優が、最小限の衣装と小道具で行うスタイルの上演でした。 イエローヘルメッツは昨年『リチャード二世』を上演していました。その時にボリングブルックを演じていた役者が、今回ヘンリー四世を演じていました。本で読んだ時、両作品におけるボリングブルック=ヘンリー四世は、同じ人物でありながら描写が異なるように思っていました。王としての苦労を経てきたからでしょうか。『リチャード二世』を観劇した時のボリングブルックの印象(立ち向かう側としての強さなど)と、今回のヘンリー四世の印象(王としての孤独や、やり場のなさなど)の違いが、舞台上で鮮やかに見えたので、役者の技量に感動しました。 5人で演じる歴史劇ということで、一人の役者が複数の役を担当していました。どの役者も、別の役を演じる時、表情や立ち方の変化が分かりやすかったので、衣装が変わらなくても混乱することなく楽しめました。 今回の『ヘンリー四世 第1部』だけでも良い上演だったと思いますが、『リチャード二世』も観ていた私はその時との繋がりを考えることでさらに興味深い観劇体験ができました。そうなると、『ヘンリー四世 第2部』も上演してくれたら嬉しいな、と期待してしまいます! On 31 May 2025, I saw and heard Henry IV, Part 1  by William Shakespeare at Rock Joint GB in Tokyo. It was played at a small venue, by five female actors, with simple black clothes (without changing costumes). They performed Richard II last year. The actor who played Henry Bolingbroke at that time played Henry IV this time. When I read both plays, I thought Bolingbroke and Henry IV were described diffe...