Skip to main content

A Merchant Of Venice at The Playground Theatre

2021年11月13日、The Playground TheatreにてA Merchant Of Veniceを観劇(2時間、休憩込み)。"The blackly comic world of a modern-day Venice"と謳われていた通り、喜劇らしさの薄くなった、現代化された劇でした。また、役者は6人のみ(役も6人のみ)という、コンパクトなものでした。客席は舞台を三方向から囲う形でつくられていて、役者と観客の距離が近い、小規模な劇場でした。

アントーニオとシャイロック
アントーニオのシャイロックいじめが目立つか、シャイロックの脅威が際立つか、そのいずれかだろうと予想して行ったのですが、どちらでもありませんでした。アントーニオは財産とバッサーニオへの(友情を超えた?)愛のために憂鬱で、シャイロックは娘に逃げられたことで動揺し、二人とも暗いキャラクターとなっていました。公演プログラムに"tortured"((精神的な意味での)拷問)という表現がいくつもありましたが、それが示す通り、登場人物は誰もが何かしらの重荷を抱えている演出だと思いました。

ポーシャとバッサーニオ
この二人は観客との距離が特に近い存在でした。ポーシャは、現代化バージョンということでスマホを持って登場したのですが、バッサーニオの前に来た求婚者たちについて「こんな人たちがいたの」とスマホで写真を見せながら観客に語りかけていました。バッサーニオはポーシャの絵姿を選ぶことが出来た時、それを三方向の客席に見せながら喜びを述べていました。このような形の劇場だからこそ出来た演出だったと思います。

ソラーニアとグラシアーノー
ソラーニア(原作ではソラーニオ)は名前から予想していた通り、女性役者が演じ、女性の役に変更されていました。グラシアーノーは、ネリッサという相手役をカットされたことにより、彼の恋の話はなくなりました。このように変更点の多い二人ですが、劇中では語り手(見守り役?)のような役割を担っていたと思います。例えば娘に逃げられて動揺するシャイロックを笑ったり、アントーニオの船を心配したり…といった具合に、他の4人の物語を外から見ているように思えました。

このように新しい可能性を感じさせてくれる上演でした。メジャーな喜劇で何度も観ているけれど、今回の観劇は私にとってフレッシュでした。

On 13 November 2021, I saw and heard an adaptation of A Merchant Of Venice by William Shakespeare at The Playground Theatre. According to its programme, it was set in "the blackly comic world of a modern-day Venice". There were only six actors (accordingly six roles) in the play, which I think went well with the small theatre like The Playground Theatre. The adaptation was fresh to me as follows:
(1) Antonio and Shylock: both of them were melancholy. Antonio was so due to the concern for his fortune and his love for Bassanio. Shylock was so especially when he knew his daughter's flight. As its programme said, the characters were psychologically tortured by something.
(2) Portia and Bassanio: they were the characters who broke the "Fourth Wall". Portia, who had a smartphone, showed the photos of her suitors to the audiences by displaying them on her smartphone. Bassanio also showed Portia's counterfeit (picture) to the audiences when he won her love.
(3) Solania and Gratiano: Solania (originally Solanio) was changed to be a female character in this production. Gratiano, who fell in love with Nerissa in the original play, lost the plot of his love with Nerissa in this production. Two of them, who had such differences between the original and the adaptation, played a role of narrators or choruses this time.






Popular posts from this blog

無伴奏ソナタ@サンシャイン劇場

2026年7月22日、サンシャイン劇場にてミュージカル『無伴奏ソナタ』を観劇(2時間45分、休憩込み)。2024年のミュージカル版初演を観て以来、再演を待ち望んでいた作品だったので、今回観劇できて嬉しかったです。 ミュージカル版初演の時には、 当時の記事 に書いたように、役と役者の関係が興味深いと思っていました。それは今回も感じたのですが、2年経った今の感想としては、芸術とは何だろう?人生とは何だろう?といった、より深いところが頭に浮かんでくる上演でした。この2年で世の中が変わったから、カンパニーのメンバーが上演をパワーアップさせたから…と色々な要因があると思いますが、私自身この2年で環境が変わったので、注目ポイントも変わったのかもしれない、と思います。 芸術について 原作がSF小説ということもあり、設定が特殊なのですが、この作品の世界においては、全国民の職業が幼児期のテストで決定されることになっています。主人公のクリスチャンは、作曲家(作中では「メイカー」と呼ばれていました)として生きることが決められます。音楽にかかわる職業は他にもありますが、この「メイカー」は人類の宝のように扱われていて、クリスチャンは親元から引き離され、政府の施設で暮らし、厳しい監視の中、作曲に励む…という生き方をします。ここで「厳しい」と書いたのは、多くの禁止事項が含まれているからです。その中でも、私の心に引っ掛かったのは、メイカーは既成の音楽を耳にしてはならない(周りの人物も、他の人が作曲した音楽を聞かせたり、既にある音楽や楽器に関する情報をメイカーに与えたりしてはならない)という法律でした。クリスチャンは、それが当然と思って30年ほど生きてきたので抵抗する様子もないのですが、現実世界の観客にとっては首を傾げたくなる話です。この法律を持ち出す側の言い分としては「真の芸術はゼロから生まれる」とのことです。これに反対する登場人物もちゃんといて、その人は「芸術は皆模倣から生まれる」と言っていました。もし自分の立場を問われたならば、私も後者の側ですが、どちらが正しいという話以前に「ゼロからor模倣から」という構図を見て取れたことが面白かったです。一応、私も院生・研究者としてやってきたので、この2年で見方が変わったのかな。 人生について そのように生きてきたクリスチャンですが、行き詰まった時、法律を...

ricca ricca festa 2026

国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ(りっかりっかフェスタ)に行ってきました。3本の作品を鑑賞し、シンポジウムを聞くこともできました。その感想を書いていきます。 I enjoyed an annual, international theatre festival for children and young people called Ricca Ricca Festa in Okinawa. I saw three performances and attended a symposium.  チップとチョコ/The Puppy Siblings, Chip and Choco  7月27日、テンブスホールにて『チップとチョコ』を観劇(45分、休憩なし)。人形劇団ひぽぽたあむによる人形劇でした。人形は人間の役者とは異なり、物理的に言ってしまえば、無機質な物です。それでも、台詞や場面に合わせて表情が変わって見えました。人形遣いの手や声を通して、人形に命が吹きこまれるからかもしれません。あるいは、観客が想像力で補いながら見るので、生き生きと見えるのかもしれません。見方、見え方、見せ方という三つの視点で興味深いため、人形劇や、人形が登場する作品は(人形と人間が共演する演劇を含めて)面白いと思います。 On 27 July, I saw a puppet show titled The Puppy Siblings, Chip and Choco . Physically speaking, puppets are just materials without emotions unlike human beings. Nevertheless, the puppets in the show looked to have emotions and their facial expressions seemed to change according to lines and scenes. Puppeteers were so skillful that puppets looked as if they were alive. Also, audiences were good at seeing them as lively puppies...

AGATHA@よみうり大手町ホール

2026年8月1日、よみうり大手町ホールにて『AGATHA』を観劇(2時間40分、休憩込み)。 アガサ・クリスティの失踪事件を題材にしたミュージカルですが、作品づくりにおける彼女の信念が見えたところが面白かったです。もちろん「彼女はどこに消えた?」「無事なのか?」「誰かの仕業か?」といった、周りの登場人物たちの言い方や歌い方は、それ自体ミステリー作品を観ているような感覚でしたが、単なる謎解きで終わらなかったところが良かったです。 アガサは(少なくとも本作品で描かれる彼女は)、事件のトリックよりも動機を大事にしています。多くの殺人事件を描きながらも、純粋な心を持つ彼女は、平凡な人が残酷な事件を起こしてしまうのはなぜかというところに興味を持ち、その人物の動機を知る(書く)ためには人間関係を観察することが重要だと言います。 私はミステリー小説の大ファンというわけではないのですが、アガサ・クリスティは好きでよく読んだり観たりしています。彼女の作品に惹かれるのはなぜか、言語化できずにいたのですが、このミュージカルを観て分かったような気がします。私は、登場人物間の関係や、そこから生じる動機(事件でなくともあらゆる言動についての動機やきっかけ)を丁寧に描く作家が好きなのだと思いました。 On 1 August 2026, I saw and heard Agatha at Yomiuri Otemachi Hall in Tokyo.  It was a Korean musical translated into Japanese, inspired by the actual incident when Agatha Christie mysteriously went missing. The musical itself was like a mystery to be solved by the audience, but I rather liked the characterisation of Agatha.  Agatha Christie (as an actual writer, or as a character in the production at least) is more interested in 'why' culprit...