Skip to main content

Midsummer Mechanicals at Sam Wanamaker Playhouse

2022年8月12日、Sam Wanamaker PlayhouseにてMidsummer Mechanicalsを観劇(2時間、休憩込み)。シェイクスピアのA Midsummer Night's Dreamに登場する職人たちに焦点を当てたスピンオフ作品です。物語の舞台は「ピラマスとシスビー」の上演から一年後、ボトムやクィンスをはじめとする職人たちが新作の芝居を上演するというプロットです。劇中劇の内容は機織り職人と妖精の女王の恋物語、つまりA Midsummer Night's Dreamでのボトムとティターニアの物語に少し脚色を加えたものでした。
二年連続で女役を演じることにフルートが難色を示したり、演技力のなさからスナッグがクビになってしまったりと、新作の上演は難航します。観客は家族連れがほとんどでしたが、芝居づくりの過程を子供たちに見せることで、その難しさとそれに伴う面白さを教える効果があったのかなと思いました。
スナウトは女性に変更されていました。そんなスナウトを含む職人たちが劇を上演しようとすると、必然的に「女性は舞台に立てない」という議論が登場します(結局、スナウトは男装して舞台に立ちました)。当時の演劇の慣習も含まれていて、教育的側面もある脚本だと思いました。
観客の反応で驚いたのは、子供たちがピラマスとシスビーの物語を知っていたり、ボトムがロバの頭にされてしまうという原作のプロットを知っていたりと、かなりの知識を持っていたことです。そのような知識の前提があるからこそ、原作から一年後のスピンオフ作品が可能になったのだと思います。
家族連れに紛れて、私はかなり浮いた観客でしたが、それでも楽しめました。

On 12 August 2022, I saw and heard Midsummer Mechanicals by Kerry Frampton and Ben Hales at Sam Wanamaker Playhouse. It was a spin-off of Shakespeare's A Midsummer Night's Dream. In the plot, the mechanicals perform a new play in the following year of their performance of "Pyramus and Thisbe". Their new play is about a weaver and the fairy queen, which we know as a story about Bottom and Titania in A Midsummer Night's Dream.
The mechanicals' rehearsal has difficulties: Flute doesn't want to play a female role again, Snug was fired due to lack of his acting skills, and so forth. The audiences included many children, and I thought it was good for them to witness the process of play-making, because they can learn how difficult but interesting play-making is. 
In this production, Snout was changed into a female role. When the mechanicals including female Snout try to perform a play, there is a discussion whether a female actor is acceptable or not. After all, Snout disguises as a man and appears on stage in the production. The script of Midsummer Mechanicals included such a theatrical convention of the Elizabethan drama, which I thought was educationally good.
The audiences' responses made me surprised. They, including children, had already known the story of Pyramus and Thisbe and the plot about a Donkey's head on Bottom. As they had knowledge on A Midsummer Night's Dream, it was possible to make a spin-off like this.
Probably I was a unique audience member (neither a child nor a parent), but I enjoyed the production a lot.





Popular posts from this blog

マクベス@彩の国さいたま芸術劇場大ホール

2025年5月17日、彩の国さいたま芸術劇場大ホールにて『マクベス』を観劇(3時間5分、休憩込み)。 『マクベス』は観劇する機会が多い作品です。それなので、これまでに観た上演と似ているところに対しても、異なるところに対しても、その理由や効果を考えることができて面白いです。 今回の上演で、過去に観た上演と似ていると思ったところは、最初に登場した魔女が人間の首を持っていたところです。これは2022年にストラットフォード・アポン・エイヴォンの The Attic Theatreで観た上演 を思い出させるものでした。どちらの上演も、魔女は亡骸が好きということを表す演出だったと思います。人の生死や運命を操る魔女らしいと思いました。 過去の上演と異なると思ったところは(というより、これまでの上演では気に留めていなかったけれど今回ハッとしたところです)、ダンカンとマクベスの関係性です。今回の上演では、第一幕で戦場から戻ったマクベスを迎えるダンカンが印象的でした。身内として、マクベスの無事に心からほっとしたように彼を抱き締めていました。ダンカンがマクベスを信頼していたことは台詞に書かれていますが、演技にもにじみ出ていたので、その後でマクベスが裏切ることを思うと胸が痛くなりました。 今年は『マクベス』の上演が豊富な年です。色々観て比較できると楽しいです。 On 17 May 2025, I saw and heard Macbeth by William Shakespeare at Saitama Arts Theater in Saitama. There are a lot of chances to see Macbeth in Japan and in the UK (and in other countries too). Then, I can compare and if there are similarities and differences, I can think about reasons and effects for them. (1) Similarity: In this production, the Witches had a head of the dead at the beginning of the play. This remi...

陽気な幽霊@シアタークリエ

2025年5月10日、シアタークリエにて『陽気な幽霊』を観劇(3時間、休憩込み)。 嚙み合わない会話や嫉妬によって笑える喜劇でしたが、終わり方はしっとりとしたものでした。二人の妻の霊を見送ったチャールズが、寂しそうで、でも解放されたようにも見え、印象的でした。この場面が特に心に残ったのは何故か思い返してみると、2021年にロンドンの Harold Pinter Theatreで観た上演 では、この場面がカットされていたからだと思います。その上演では、エルヴィラの霊をあの世に戻すことができず、ルースの霊まで呼び出してしまった、というところで終わっていたと思います。記憶が曖昧な部分もありますが、当時の観劇ノートを見返すと、マダム・アーカティの失敗が観客の笑いを誘って幕、と書いてあり、上演時間も40分ほど差があるので、そうだったはずです。『陽気な幽霊』を観るのはその時が初めてだったので、そのような終わり方をするものだと思い込んでいました。それなので、今回初めて観た最後の場面が、特に印象に残ったのだと思います。 笑いと感動の両方を楽しめた舞台、観ることができて良かったです。 On 10 May 2025, I saw and heard Blithe Spirit by Noël Coward at Theatre Creation in Tokyo.  The play, full of misunderstandings and jealous, was a hilarious comedy. However, the very last scene was a touching one. When the wives' spirits had gone, Charles looked sad but a little relieved. I wondered why this scene was especially touching for me, and I realised the past production that I saw at Harold Pinter Theatre in London (2021) didn't include this scene so it was fresh for me this time. In ...

ヘンリー四世 第1部@ROCK JOINT GB

2025年5月31日、ROCK JOINT GBにて『ヘンリー四世 第1部』を観劇(85分、休憩なし)。イエローヘルメッツ番外公演として、ライブハウスで、5人の女優が、最小限の衣装と小道具で行うスタイルの上演でした。 イエローヘルメッツは昨年『リチャード二世』を上演していました。その時にボリングブルックを演じていた役者が、今回ヘンリー四世を演じていました。本で読んだ時、両作品におけるボリングブルック=ヘンリー四世は、同じ人物でありながら描写が異なるように思っていました。王としての苦労を経てきたからでしょうか。『リチャード二世』を観劇した時のボリングブルックの印象(立ち向かう側としての強さなど)と、今回のヘンリー四世の印象(王としての孤独や、やり場のなさなど)の違いが、舞台上で鮮やかに見えたので、役者の技量に感動しました。 5人で演じる歴史劇ということで、一人の役者が複数の役を担当していました。どの役者も、別の役を演じる時、表情や立ち方の変化が分かりやすかったので、衣装が変わらなくても混乱することなく楽しめました。 今回の『ヘンリー四世 第1部』だけでも良い上演だったと思いますが、『リチャード二世』も観ていた私はその時との繋がりを考えることでさらに興味深い観劇体験ができました。そうなると、『ヘンリー四世 第2部』も上演してくれたら嬉しいな、と期待してしまいます! On 31 May 2025, I saw and heard Henry IV, Part 1  by William Shakespeare at Rock Joint GB in Tokyo. It was played at a small venue, by five female actors, with simple black clothes (without changing costumes). They performed Richard II last year. The actor who played Henry Bolingbroke at that time played Henry IV this time. When I read both plays, I thought Bolingbroke and Henry IV were described diffe...