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A Midsummer Night's Dream at The Attic Theatre

2022年8月31日、The Attic TheatreにてA Midsummer Night's Dreamを観劇(2時間45分、休憩込み)。
今回の演出では、ライサンダーが女性として登場し、ライサンドラと呼ばれていました。イギリスで観劇を重ねて気付きましたが、登場人物を女性化する際、名前も女性の名前に変更することがよくあるようです。シェイクスピアの原作では、イジーアスは理由も述べずにライサンダーを拒否し、ディミートリアスをハーミアの結婚相手に選びます。今回の演出では、ライサンダーが女性になったことで、イジーアスが娘の結婚相手を選ぶ基準は性別にあるように見えました(あからさまな同性愛嫌悪ではありませんでしたが)。
ライサンダーの性別が変更されたことによって、矛盾するように見えた場面がありました。それは、アテネの若者に惚れ薬を塗るようにとオーベロンから命じられたパックが、ディミートリアスとライサンダーを間違えてしまう場面です。シェイクスピアの原作では二人ともアテネの男の服装なので、パックが間違えてしまうのも仕方なく思えますが、今回の演出では、男性のディミートリアスと女性のライサンドラが間違われたということで、そんな間違いってある?と思ってしまいました。
ライサンダーの性別の変更は、多様性が問われる時代に合わせた演出だったと思いますが、台詞や場面には矛盾が起きないようにしたいところです。

On 31 August 2022, I saw and heard A Midsummer Night's Dream by William Shakespeare at The Attic Theatre.
In this production, Lysander was changed into a female character and called Lysandra. I thought it is common in England that the name of a character is also changed when the gender of a character is changed. In Shakespeare's original, Egeus prefers Demetrius to Lysander for Hermia's husband without a reason. In this production, Egeus's preference seemed to be based on their gender, although there was no evident homophobia.
Due to the fact that Lysander was changed into a female role, I found some lines and scenes contradictory. When Puck is ordered by Oberon to cast a spell on "Athenian youth", Puck mistakes Lysander for Demetrius. In Shakespeare's original, the mistake is possible because both of them have Athenian male garments. However, in this production, one was a man and the other was a woman. I wondered why Puck mistook female Lysandra for male Demetrius.
The change of the gender was plausible in this era with diversity, but it is important to avoid the contradiction.



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嵐 THE TEMPEST@俳優座劇場

2025年4月19日、俳優座劇場にて『嵐 THE TEMPEST』を観劇(3時間5分、休憩込み、カーテンコール込み)。4月末で閉館する俳優座劇場の最後の公演ということで、「さようなら俳優座劇場」として上演されていました。10日間の上演期間のうち、千穐楽公演を観に行きました。 むき出しの舞台と簡素な舞台装置が印象的でした。大掛かりな舞台装置や豪華な演出に頼らず、役者の力で上演を届けるという姿勢が見られました。今回の上演では、新訳が使われていたのですが、プロスペローは「演出」「筋書き」といった表現をよく使っていました。他の訳でもそうであるのかはこれから確認したいと思いますが、このような言葉の選択は、演出家のようにも役者のようにも振る舞うプロスペローの姿と、役者の力を主な要素とする今回の上演が重なるようで、演技、演出、翻訳が調和した上演だったと思います。 「赦し」は作品のテーマの一つですが、赦すという行為を単純に描くのではなく、長い苦労と恨みの期間が終りに向かっていくことを丁寧に表現した演出、演技だったと思います。その過程で、プロスペローは魔法を手放します。苦労や恨みだけでなく、魔法も含めて、終わりに向かっていく様子は、寂しさと美しさを持ち合わせたもので、俳優座劇場での上演が最後であることを思い出させるものでした。そのことを最も強く感じたのはプロスペローによるエピローグで、芝居の上演が魔法のようなものだとしたら、上演の終わり、劇場の終わり、そしてプロットとしての魔法の終わりが重なって見え、感動を誘うものでした。 俳優座劇場では、プロデュース公演としてイギリス演劇を観たり、プロデュース公演でなくてもシェイクスピア作品を観たりして、何度も通った思い出があります。最後の瞬間に立ち会えて良かったです。 On 19 April 2025, I saw and heard The Tempest  by William Shakespeare at Haiyuza Theater in Tokyo. It was the last production at the theatre, which is going to close at the end of this April. I saw the very last performance on the closing ...

イエローヘルメッツ イベントのお知らせ

シェイクスピア作品上演企画「イエローヘルメッツ」が、ゴールデンウイークにイベントを開催します!4日間×3コマで盛りだくさんです。詳細は下の画像と こちらのリンク から! 私は5月5日(月祝)11時~13時の「原文朗読会」で講師を務めます。シェイクスピアの台詞を英語で声に出して読むワークショップです。 『マクベス』と『ヘンリー四世 第1部』を題材に、韻文と散文の台詞を取り上げます。韻文と散文の違いや、英語の台詞のリズムを、一緒に体験してみましょう。 よろしくお願いいたします。

自己紹介 / Introducing myself

このブログを見てくれてありがとうございます。Rena Endoです。日本に住みながら、イギリスの大学院の博士課程(ディスタンスラーニングコース)に所属しています。 It's Rena Endo, living in Japan but attending a British university by distance learning. Research / Activity イギリス演劇を研究する大学院生・大学講師として、劇場と教室を繋ぐ存在になりたいです。その目標のための、学会発表や論文投稿、劇場でのレクチャーについて、お知らせや報告をしていきます。 I'm a PhD student studying the English drama and a Japanese theatre industry, and my ambition is to be active at a classroom and at a theatre; I encourage students to enjoy stage productions (in addition to studying by turning a page), and I give academic (but not-too-formal) lectures to theatre enthusiasts at a theatre. I write about such activities in this blog. Theatre イギリス演劇以外にも、色々なジャンルの舞台芸術を鑑賞することが好きです。観劇の感想を投稿していきます。日本語と英語の両方で書いていくので、英語圏の友人にも読んでもらえたら嬉しいです。日本にはこんな舞台作品があるんだよ!と伝えたいです。 I enjoy seeing various kinds of theatre productions. When I see a performance, I write about what I see and how I think about it. The posts are written both in Japanese and in English, so I'll be happy if English-...