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A Night At The Kabuki at Sadler's Wells Theatre

2022年9月24日、Sadler's Wells TheatreにてA Night At The Kabukiを観劇(2時間55分、休憩込み)。日本では『Q』として上演されている野田秀樹の作品です。
日本人の活躍を海外で目撃できたら嬉しいなと思っていたので、今回のイギリス滞在中に日本のプロダクションを観るのが夢でした。それがかなって嬉しいです。ただ、現地の観客の反応を知りたいと思っていたのですが、観客のほとんどは日本人でした。ロンドンにはこんなに日本人がいるのか、と驚きました。
物語は『ロミオとジュリエット』を源平合戦の文脈で描いたもので、音楽はクイーンという、見どころ満載の作品です。「もしロミオとジュリエットが本当は生きていたら?」という描き方で、シェイクスピアが書いた若いロミオとジュリエットと、創作である大人になったロミオとジュリエットが登場します。つまり、ロミオとジュリエットを演じる役者が4人いるのです。
上演の前半はシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の筋書きをなぞるような構成でした。その部分では、大人になったロミオとジュリエットが二人の悲劇的な結末を変えようと、若い二人に介入するように登場します。上演の後半は創作で、実は生きていたロミオとジュリエットの物語です。その部分では、まだ見ぬ未来の運命を切り拓こうと、若いロミオとジュリエットが大人になった二人を見守ります。このような、前半と後半での視点の逆転が面白いと思いました。

On 24 September 2022, I saw and heard A Night At The Kabuki by Hideki Noda at Sadler's Wells Theatre. It was a Japanese production, known as Q in Japan.
The play is a mixture of Japanese things and British things: the story is about Romeo and Juliet which is rewritten in the context of the Genji and Taira families in late 12th Century Japan, and the music is by Queen, a British rock band. Then I expected to see how local audiences would react to the play, but actually the majority of the audience members were Japanese. I was surprised that so many Japanese people live in London or visit London.
The theme of the play was "What if Romeo and Juliet survived?". Four actors played Romeo and Juliet: young Romeo and Juliet written by Shakespeare and old Romeo and Juliet written by Noda appeared. The first part of the play was about Romeo and Juliet written by Shakespeare. In the part, old Romeo and Juliet intervened young Romeo and Juliet to try to redirect the destiny of their tragic love story. The second part of the play was Noda's creation. In the part, young Romeo and Juliet appears to see the destiny of old Romeo and Juliet. Such a conversion of perspectives was interesting.



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夏の夜の夢@彩の国さいたま芸術劇場大ホール

2024年12月14日、彩の国さいたま芸術劇場大ホールにて『夏の夜の夢』を観劇(2時間20分、休憩込み)。 惚れ薬の魔力を解く場面が印象的でした。ライサンダーの心をヘレナからハーミアに戻すために、魔力を解く草の汁がライサンダーの目に絞られますが、今回の上演では、ディミートリアスの目にも絞られていたので驚きました。それでは二人がハーミアを取り合う状態に戻るのではないかと思いましたが、魔力が解かれた後も、ディミートリアスはヘレナを慕っていました。シェイクスピアの原文は、ディミートリアスとヘレナが結ばれるのは真実の愛ではなく惚れ薬のためではないかという疑問が残る終わり方ですが、その疑問に対する演出だったのではないかと思います。『夏の夜の夢』が始まる前の話として、ディミートリアスとヘレナは恋仲にあったので、その時点まで戻るという意味で、魔力が解かれたのではないかと想像します。 On 14 December 2024, I saw and heard A Midsummer Night's Dream by William Shakespeare at Saitama Arts Theater in Saitama. The most interesting scene was when Puck used the herb to amend the confusion among Athenian lovers. In Shakespeare's text, Puck crushes it into Lysander's eyes to make him unspelled. However, in this production, Puck used the herb for both Lysander and Demetrius. I thought that might lead them to love Hermia if both of them were unspelled, but Demetrius still loved Helena even after Puck's use of the herb. I didn't know why, but I assumed that Demetrius went bac...

ロミオとジュリエット@新国立劇場小劇場

2024年12月7日、新国立劇場小劇場にて『ロミオとジュリエット』を観劇(1時間50分、休憩なし)。新国立劇場演劇研修所第18期生の公演でした(修了者も2名出演していました)。以下、ネタバレ注意です。 現代社会の暗い側面を映したような演出でした。一番驚いたのは、ロザラインの名前が出てこなかったところです。それにより、冒頭のロミオの憂鬱が、恋によるものではなく、現代の若者の閉塞感のように見えました。 他の登場人物にも、やり場のない思いが表れていたと思います。例えば、暴力を止める大公自身が暴力を振るうので、どうしようもない社会という感じがしました。 このような演出は、2021年にロンドンのグローブ座で観た Romeo and Juliet と似ていると思いました。どちらの上演も、人間の愚かさや現代社会の問題を突き付けてくるようなものだったので、見ていて悲しくなりましたが、それは嫌な上演という意味ではなく、観客が考えたり行動したりするきっかけになる可能性があるという点で、良い上演だったと思います。 (Caution: contains a spoiler.) On 7 December 2024, I saw and heard Romeo and Juliet by William Shakespeare at New National Theatre Tokyo.  It seemed to me that this production reflected current social issues. To my surprise, there was no mention to Rosaline. Then, Romeo's melancholy in the beginning of the play looked like frustrations that today's young adults may have, rather than the melancholy because of love. Other characters also had frustrations, which was not surprising in this production with full of violence. Prince Escalu...

天保十二年のシェイクスピア@日生劇場

2024年12月21日、日生劇場にて『天保十二年のシェイクスピア』を観劇(3時間35分、休憩込み)。 シェイクスピアの全作品が散りばめられた作品なので、各場面にクライマックスがあるように思いました。そのような中で、作品全体のクライマックスで鏡が出てきたことには、象徴的な意味があったと思います。『天保十二年のシェイクスピア』の終盤では、悪役への復讐として、その醜さを直視させるために鏡が使われていました。シェイクスピアの戯曲には、対立、反逆、狂気、取り違え、嫉妬など様々な要素がありますが、作者・井上ひさしにとってのシェイクスピアは、とりわけ"reflection"がキーワードなのかと思いました。日本語の適訳が思い浮かばないのですが、芝居が世相を映す、観客が登場人物を見て自分を見つめ直す機会を得る、という意味での「映す/映る」ということです。そのことに気付けたので、今回の観劇は興味深いものでした。 2020年に観劇 してから4年以上経ち、シェイクスピア作品への直接的・間接的言及が分かる箇所は増えました。それでも、37作品全てに気付くには至りませんでした。まだまだ修行が必要だと思いました(笑) On 21 December 2024, I saw and heard Tempo 12-nen no Shakespeare by Hisashi Inoue at Nissay Theatre in Tokyo.  As the plot of the play was woven from all of the Shakespeare's plays, each scene had a climax, such as love, reunion, death, and so on. In the very last climax at the end of the play, a character brought a mirror (or a glass) for revenge, which was iconic. She brought it in front of the Richard-like villain, who had killed her twin sister and her husband, so that the vi...