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Showing posts from March, 2023

ハリー・ポッターと呪いの子@赤坂ACTシアター

2023年3月21日、赤坂ACTシアターにて『ハリー・ポッターと呪いの子』を観劇(3時間40分、休憩込み)。以下、ネタバレ注意です。 観劇前から噂に聞いていた通り、イリュージョンに溢れた上演でした。箒が浮かんだり消えたり、杖から火が出たり、火がついている暖炉から人が出てきたり。何より、別の人物に変身する場面では、二人の役者の入れ替わりに「どんな仕掛け!?」と思ってしまい、本当に魔法を見ているようでした。 このように、視覚的に面白い上演でしたが、聴覚的にも印象に残る上演でした。組分け帽子の台詞はリズムが聞いていて心地よく、原文では韻文で書かれているのかな、と想像したりしました。いつかイギリスでも観劇してみたい作品だと思いました。 (Caution: contains a spoiler.) On 21 March 2023, I saw and heard Harry Potter and the Cursed Child  at Akasaka ACT Theater in Tokyo. As I had heard, the production was full of illusion. For example, brooms flew and disappeared, wands shot fireballs, and some characters appeared from a fireplace with fire. Above all, when a character turned into another character, an actor disappeared and another actor appeared so smoothly that I thought it was a real magic.  Besides such spectacle, I also liked the way the translators turned the production into Japanese. For example, Sorting Hat spoke rhythmed lines in Japanese, so I wondered if the original lines in English were w...

花の御所始末@歌舞伎座

2023年3月18日、歌舞伎座にて『花の御所始末』を観劇(2時間30分、休憩込み)。シェイクスピアの『リチャード三世』に着想を得て書かれた歌舞伎作品でした。(以下、ネタバレ注意です。) 室町時代の将軍・足利義教が主人公でした。暴君と恐れられ、目的のためには手段を選ばない義教の様子が、リチャード三世の悪役ぶりに重ねられていました。義教もリチャードも15世紀の人物であるという共通点は、歌舞伎とシェイクスピア劇がほぼ同時期に始まったという共通点とともに、興味深いと思いました。 歌舞伎なので、言葉が古くて難しいのではないかと思っていましたが、現代の日本語に近い言葉遣いで、台詞についていくことができました。1974年に書き下ろされた作品だからだと思います。シェイクスピアの英語と現代英語の方が、言葉の隔たりは大きいのではないかと思いました。 (Caution: contains a spoiler.) On 18 March 2023, I saw and heard Hana no Gosho Shimatsu at Kabukiza Theatre in Tokyo. It was a kabuki play inspired by William Shakespeare's Richard III .  The protagonist was Yoshinori Ashikaga, an existent general in Muromachi period. He was said to be a tyrant, and such Yoshinori was likened to Richard III. It was interesting that both of Yoshinori and Richard lived in 15th century, just like that kabuki and Shakespeare's plays have similarity in when they originated. As it was a kabuki play, I expected that the language would be old and hard to understand at first. In fact, howe...

共著論文が出版されました

共著論文"Playing with Shakespeare in Japan"が The Routledge Companion to Global Literary Adaptation in the Twenty-First Century に掲載され、出版されました。共著者のThomas Dabbs先生、松山響子先生に感謝申し上げます。「遊び心」という概念に注目し、現代日本におけるシェイクスピア上演と、アニメ・マンガになったシェイクスピアを論じています。私はシェイクスピア上演の部分を担当しました。お手に取っていただけたら嬉しいです。 詳細は こちらのページ からどうぞ。 Our co-authored chapter "Playing with Shakespeare in Japan" was included in  The Routledge Companion to Global Literary Adaptation in the Twenty-First Century and finally published . I thank the authors in this collaboration: Professor Thomas Dabbs and Professor Kyoko Matsuyama. The chapter discusses how Japanese people treat Shakespeare with Japanese playful spirit: asobigokoro . I analysed some examples of Shakespearean stage adaptation in modern Japan.  You can find details from this link .

ハムレット@世田谷パブリックシアター

2023年3月8日、世田谷パブリックシアターにて『ハムレット』を観劇(3時間30分、休憩込み)。以下、ネタバレ注意です。 野村萬斎演出のシェイクスピアというだけあり、和と洋の混在が興味深い上演でした。衣装や音響効果は和風、キリスト教の描写(祈禱書や祈り)は洋風でした。場面で言うと、劇中劇は浄瑠璃や歌舞伎を思わせるところがあり、ハムレットとレアーティーズが剣を交える場面は西洋のそれに見えました。 劇中劇と言えば、旅役者の都での評判について変更がなされていました。シェイクスピアの原作では、少年劇団に人気を奪われていると説明がなされ、これは当時のロンドンの劇壇を描写しているのですが、今回の上演では、疫病のせいで都の劇場が閉鎖され地方巡業に出たという設定になっていて、現代の劇壇の事情が反映されていました(必ずしもロックダウン=地方巡業とはなりませんが、疫病のせいで上演中止になるということは3年前から経験してきたことなので、観客にとっては時事問題として聞こえます)。昨年ロンドンのサム・ワナメイカー・プレイハウスで Hamlet を観劇した際 にも書きましたが、原作からの逸脱を批判するのではなく、当時の観客に馴染みのある描写が原作でなされているのなら、現代の観客に合わせて現代の上演をつくることも一つの演出として受け入れたいと思います。 (Caution: contains a spoiler.) On 8 March 2023, I saw and heard Hamlet by William Shakespeare at Setagaya Public Theatre in Tokyo. It was directed by Mansai Nomura, a famous Kyogen actor. Then, the production had a mixture of Japanese elements and Western elements. Costumes and sound effects looked and sounded Japanese, but Christian elements  we re Western. The play-within-a-play was in accordance with Japanese tradition...

ペリクリーズ@両国シアターχ

2023年3月1日、両国シアターχにて『ペリクリーズ』を観劇(2時間25分、休憩込み)。以下、ネタバレ注意です。 コレオグラフィーが興味深い演出でした。舞台上にあるのは机と椅子だけでしたが、役者の動きによって、場面に応じてそれらが船などに見えました。例えば、役として登場していない役者が左右に動いて波を表現し、机の上に立つペリクリーズが船に乗ったペリクリーズに見える、といった具合です。こんなにダイナミックなロマンス劇は初めて観ました。 また、青を基調とした衣装も良かったです。海を連想させる色なので、海において運命が決定づけられるペリクリーズの物語にはよく合っていると思いました。 (Caution: contains a spoiler.) On 1 March 2023, I saw and heard Pericles by William Shakespeare at Theater χ in Tokyo. Its choreography was outstanding. They only had desks and chairs on stage, but they looked like other things such as ships, thanks to the actors' movement. For example, when Pericles was standing on a desk, it looked as if he was on a ship because other actors moved their bodies to express waves. I was surprised to see such a dynamic Shakespeare's romance play. Also, I liked the costumes. All actors were in blue, which reminded me of ocean, where Pericles's destiny was determined.