Skip to main content

花の御所始末@歌舞伎座

2023年3月18日、歌舞伎座にて『花の御所始末』を観劇(2時間30分、休憩込み)。シェイクスピアの『リチャード三世』に着想を得て書かれた歌舞伎作品でした。(以下、ネタバレ注意です。)
室町時代の将軍・足利義教が主人公でした。暴君と恐れられ、目的のためには手段を選ばない義教の様子が、リチャード三世の悪役ぶりに重ねられていました。義教もリチャードも15世紀の人物であるという共通点は、歌舞伎とシェイクスピア劇がほぼ同時期に始まったという共通点とともに、興味深いと思いました。
歌舞伎なので、言葉が古くて難しいのではないかと思っていましたが、現代の日本語に近い言葉遣いで、台詞についていくことができました。1974年に書き下ろされた作品だからだと思います。シェイクスピアの英語と現代英語の方が、言葉の隔たりは大きいのではないかと思いました。

(Caution: contains a spoiler.)
On 18 March 2023, I saw and heard Hana no Gosho Shimatsu at Kabukiza Theatre in Tokyo. It was a kabuki play inspired by William Shakespeare's Richard III
The protagonist was Yoshinori Ashikaga, an existent general in Muromachi period. He was said to be a tyrant, and such Yoshinori was likened to Richard III. It was interesting that both of Yoshinori and Richard lived in 15th century, just like that kabuki and Shakespeare's plays have similarity in when they originated.
As it was a kabuki play, I expected that the language would be old and hard to understand at first. In fact, however, the language was much more modern than I had expected, and it was easy to follow. It was probably because the play was written in 1974. I thought that the gap between Shakespeare's language and modern English is bigger than the gap between the language in the play and modern Japanese is.




Popular posts from this blog

夏の夜の夢@彩の国さいたま芸術劇場大ホール

2024年12月14日、彩の国さいたま芸術劇場大ホールにて『夏の夜の夢』を観劇(2時間20分、休憩込み)。 惚れ薬の魔力を解く場面が印象的でした。ライサンダーの心をヘレナからハーミアに戻すために、魔力を解く草の汁がライサンダーの目に絞られますが、今回の上演では、ディミートリアスの目にも絞られていたので驚きました。それでは二人がハーミアを取り合う状態に戻るのではないかと思いましたが、魔力が解かれた後も、ディミートリアスはヘレナを慕っていました。シェイクスピアの原文は、ディミートリアスとヘレナが結ばれるのは真実の愛ではなく惚れ薬のためではないかという疑問が残る終わり方ですが、その疑問に対する演出だったのではないかと思います。『夏の夜の夢』が始まる前の話として、ディミートリアスとヘレナは恋仲にあったので、その時点まで戻るという意味で、魔力が解かれたのではないかと想像します。 On 14 December 2024, I saw and heard A Midsummer Night's Dream by William Shakespeare at Saitama Arts Theater in Saitama. The most interesting scene was when Puck used the herb to amend the confusion among Athenian lovers. In Shakespeare's text, Puck crushes it into Lysander's eyes to make him unspelled. However, in this production, Puck used the herb for both Lysander and Demetrius. I thought that might lead them to love Hermia if both of them were unspelled, but Demetrius still loved Helena even after Puck's use of the herb. I didn't know why, but I assumed that Demetrius went bac...

ロミオとジュリエット@新国立劇場小劇場

2024年12月7日、新国立劇場小劇場にて『ロミオとジュリエット』を観劇(1時間50分、休憩なし)。新国立劇場演劇研修所第18期生の公演でした(修了者も2名出演していました)。以下、ネタバレ注意です。 現代社会の暗い側面を映したような演出でした。一番驚いたのは、ロザラインの名前が出てこなかったところです。それにより、冒頭のロミオの憂鬱が、恋によるものではなく、現代の若者の閉塞感のように見えました。 他の登場人物にも、やり場のない思いが表れていたと思います。例えば、暴力を止める大公自身が暴力を振るうので、どうしようもない社会という感じがしました。 このような演出は、2021年にロンドンのグローブ座で観た Romeo and Juliet と似ていると思いました。どちらの上演も、人間の愚かさや現代社会の問題を突き付けてくるようなものだったので、見ていて悲しくなりましたが、それは嫌な上演という意味ではなく、観客が考えたり行動したりするきっかけになる可能性があるという点で、良い上演だったと思います。 (Caution: contains a spoiler.) On 7 December 2024, I saw and heard Romeo and Juliet by William Shakespeare at New National Theatre Tokyo.  It seemed to me that this production reflected current social issues. To my surprise, there was no mention to Rosaline. Then, Romeo's melancholy in the beginning of the play looked like frustrations that today's young adults may have, rather than the melancholy because of love. Other characters also had frustrations, which was not surprising in this production with full of violence. Prince Escalu...

天保十二年のシェイクスピア@日生劇場

2024年12月21日、日生劇場にて『天保十二年のシェイクスピア』を観劇(3時間35分、休憩込み)。 シェイクスピアの全作品が散りばめられた作品なので、各場面にクライマックスがあるように思いました。そのような中で、作品全体のクライマックスで鏡が出てきたことには、象徴的な意味があったと思います。『天保十二年のシェイクスピア』の終盤では、悪役への復讐として、その醜さを直視させるために鏡が使われていました。シェイクスピアの戯曲には、対立、反逆、狂気、取り違え、嫉妬など様々な要素がありますが、作者・井上ひさしにとってのシェイクスピアは、とりわけ"reflection"がキーワードなのかと思いました。日本語の適訳が思い浮かばないのですが、芝居が世相を映す、観客が登場人物を見て自分を見つめ直す機会を得る、という意味での「映す/映る」ということです。そのことに気付けたので、今回の観劇は興味深いものでした。 2020年に観劇 してから4年以上経ち、シェイクスピア作品への直接的・間接的言及が分かる箇所は増えました。それでも、37作品全てに気付くには至りませんでした。まだまだ修行が必要だと思いました(笑) On 21 December 2024, I saw and heard Tempo 12-nen no Shakespeare by Hisashi Inoue at Nissay Theatre in Tokyo.  As the plot of the play was woven from all of the Shakespeare's plays, each scene had a climax, such as love, reunion, death, and so on. In the very last climax at the end of the play, a character brought a mirror (or a glass) for revenge, which was iconic. She brought it in front of the Richard-like villain, who had killed her twin sister and her husband, so that the vi...