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十二夜@文学座アトリエ

2024年2月10日、文学座アトリエにて『十二夜』を観劇(2時間35分、休憩込み)。文学座附属演劇研究所の卒業発表会でした。
モダンな衣装と音楽がスタイリッシュな印象を与える演出でした。音楽は時々クラシック音楽も使われていて、バランスが良いと思いました。
役者も良かったです。特に女性の登場人物は、ある一点から演技が変わる様子が見て取れました。例えばヴァイオラは(大半の場面がそうですが)男装してから生き生きとしていました。オリヴィアは、前半の"fair cruelty"といった感じと、シザーリオに恋をした後の愚かなほど素直にぶつかっていく様子との間で、鮮やかな対比が見られました。マライアは、マルヴォーリオを騙すことになってから、とても楽しそうで、いたずら好きな様子が見られました。
芝居の終わりには、『夏の夜の夢』のパックの口上が述べられていました。文学座附属演劇研究所を卒業する役者たちにとって、この公演はターニングポイントなのかもしれないと推察します。そのような中でのパックの口上は、役者たちの決意を感じさせるような、力強いものでした。

On 10 February 2024, I saw and heard Twelfth Night by William Shakespeare at Bungakuza Atelier in Tokyo. It was performed by graduating trainees at Bungakuza, a Japanese theatre company.
The production had modern costumes and music. It also included classical music. I liked the balance between modern stylishness and classical atmosphere.
I also liked their acting, especially by those who played female roles. I thought that they changed their acting at certain points. For example, Viola became more active after her disguise. Olivia was a "fair cruelty" at first, but she showed her passion after she fell in love with Cesario. Maria seemed to enjoy tricking Malvolio so much after she decided to do so.
At the end of the performance, an actor stated the epilogue by Puck in A Midsummer Night's Dream. I was surprised to hear the epilogue brought from another play, but I found it persuasive in this case. That was because the actors, who were graduating trainees, and the epilogue, which was metatheatrical, matched well.




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ザ・シャーロック@イマーシブ・フォート東京

2025年3月5日、イマーシブ・フォート東京にて体験型演劇『ザ・シャーロック』を体験(120分、休憩込み)。従来の演劇とは異なる体験ができて面白かったです。 体験型演劇について イマーシブ・フォート東京は没入型の体験ができるパークです。3月5日現在、4つの作品が上演されていました。私が体験した『ザ・シャーロック』は、舞台上の出来事を客席から観る従来の演劇とは異なり、複数の場所で同時多発的に場面が進むものでした。どの登場人物を追っても良いので、どこを見るかによって得られる情報が異なり、それによって作品に対する感想も一人一人異なるだろうという点が興味深かったです。 作品について 『ザ・シャーロック』は19世紀ロンドンのベイカーストリートが舞台で、シャーロック・ホームズやワトソン、モリアーティ教授などが登場します。ホームズファンには嬉しいものだと思います。また、イギリスが好きという人も楽しめるものだったと思います。というのは、登場人物の衣装や、部屋や街並みのセットが上手く再現されていたと思ったからです。本当に当時のロンドンに紛れ込み、ホームズたちを間近で見ているような気分になりました。 上演後、友人(一緒に行ったけれど上演中は別行動だった友人)と考察し合うのも楽しかったです。異なる場所で異なる場面が展開される今回の作品においては、自分の見たものが絶対的な正解ではなく、作品の一部に過ぎませんし、真犯人による見せかけである可能性もあります。そのような上演の仕方は、ミステリーと相性が良いと思いました。被害者側の場面を中心に目撃した友人と、ホームズを中心に追っていた私が感想を話し合った時、見てきた出来事のタイムラインが異なり、別の作品のようで驚きました。それでも、少しずつ重なる情報もあったので、相手の話を聞いているうちに「(自分が見た時は)この台詞の意味だけ理解できなかった…」と思っていたところに対してパズルのピースが埋まっていくようで気持ちが良かったです。終演時にドリンクチケットをもらい、引き換えた飲み物を片手にパーク内のレストランで話すという、素敵な時間でした。従来の演劇でも、観劇後にカフェなどに立ち寄って感想を話すことがあります。演劇はコミュニケーションのきっかけになると思います。 没入について 19世紀のロンドンに紛れ込んで、ホームズたちの周りで起きる出来事を目撃したよう...

インサイド・ウィリアム@三越劇場

2025年3月22日、三越劇場にてミュージカル『インサイド・ウィリアム』を観劇(1時間45分、休憩なし)。 シェイクスピア作品からの引用が多く、シェイクスピア自身も登場するフィクションでした。『ロミオとジュリエット』の原稿と『ハムレット』の原稿が混ざってしまい、ロミオ、ジュリエット、ハムレットが作品を飛び出してシェイクスピアの前に現れ、シェイクスピアどうする!?というのが『インサイド・ウィリアム』の大まかなあらすじです。観劇前にあらすじを知った時、 『Something Rotten!』 や 『The Upstart Crow』 のような笑えるバックステージものを想像していました。それは確かにそうだったのですが、笑えるだけのミュージカルではありませんでした。登場人物がアイデンティティーについて考え始めるという点で、『作者を探す六人の登場人物』のようなメタ構造の作品だと思いました。『インサイド・ウィリアム』では、作者が登場人物にどう生きてほしいと思うか、および、登場人物が自分の人生をどう生きたいと願うかが対立します。その対立を経て、自分の物語の主人公になろうというメッセージが客席に伝わってくる作品でした。「テアトラム・ムンディ」(theatrum mundi)の考え方を舞台上で見せてもらえたように思います。 On 22 March 2025, I saw and heard a musical Inside William at Mitsukoshi Theater in Tokyo.  The musical includes citations from Shakespeare's plays. Shakespeare as a playwright, and Romeo, Juliet, and Hamlet as characters appear in the musical. The plot is about what happens to Shakespeare when his drafts of Romeo and Juliet and Hamlet  are mingled by accident. Knowing the plot before the performance, I assumed that the mix...

自己紹介 / Introducing myself

改めまして、Rena Endoです。所属が変わったので自己紹介を更新します。 「イギリスに留学中の演劇好きな大学院生」を名乗っていましたが、イギリスで修士課程を終え、帰国しました。「日本で博士課程に取り組む演劇好きな大学院生」になりました。今後は観劇の感想、美術展や旅行などの趣味について、そして研究活動の報告といった投稿が多くなると思います。日本語と英語の両方で書こうと思うので、英語圏の友人にも読んでもらえたら嬉しいです。特に観劇の感想について、日本にはこんな舞台作品があるんだよ!と伝えたいです。 留学生活と海外生活のカテゴリーは、今後は更新しなくなりますが、イギリス留学中に投稿したものは残しておきます。これから留学を考えている方や、イギリスでの生活に興味のある方は、ぜひ覗いてみてくださいね。 これからもよろしくお願いいたします。 Hello, I'm Rena Endo from Japan, who like going to theatres and major Shakespeare's plays. I was an MA student in England, but now I'm a doctoral student in Japan. Since I went back to Japan and my position changed from an MA student to a doctoral student, I rewrite this "Introducing myself" page.  As such a postgraduate student, I will write posts for categories of "Theatre", "Interest", and "Research / Activity" in this blog from now on. The posts will be written both in Japanese and in English, so I'll be happy if English-speaking people read my blog. Especially, ...