Skip to main content

夏の夜の夢@文学座アトリエ

2024年2月17日、文学座アトリエにて『夏の夜の夢』を観劇(2時間25分、休憩込み)。文学座附属演劇研究所の卒業発表会でした。
恋人たちを取り巻く演出が興味深かったです。例えば、第3幕第2場で恋人たちが喧嘩をする場面は、勢いがありました。言い合ううちに、ヘレナのドレスをハーミアが、ハーミアのドレスをヘレナが、それぞれ破いてしまうのを見た時には驚きました。ヘレナに言い寄るうちに、ライサンダーとディミートリアスが服を脱ぎ捨てるという演出は、シェイクスピア・シアターで見たことがありましたが、女性側の衣服が破れるという演出は初めて見ました。それなので驚きましたが、ハーミアにからかわれていると思っているヘレナの困惑も、ヘレナに恋人を奪われたと思っているハーミアの怒りも、相当なものなので、ドレスが破れるくらいの取っ組み合いになって良いのだと思いました。
他の場面では、パックが恋人たちを森の中で惑わせる時の演出も良かったです。台本上では、パックが声を使って惑わせますが、今回の上演ではそれに加えて、伸縮テープが舞台中に張り巡らされていました。恋人たちは、テープに遮られて進めなかったり、テープをくぐったり跨いだりすることで苦労したりしていました。パックの超自然的な力をアナログな手法で表している点が面白いと思いました。
『夏の夜の夢』は近年よく観劇しますが、今回も新たな発見があって良かったです。

On 17 February 2024, I saw and heard A Midsummer Night's Dream by William Shakespeare at Bungakuza Atelier in Tokyo. It was performed by graduating trainees at Bungakuza, a Japanese theatre company.
I liked how it was directed especially in scenes of Athenian lovers.
For example, in act 3 scene 2, the lovers fought fiercely. While disputing, Helena's dress was torn by Hermia and Hermia's by Helena. I had seen another production in which Lysander and Demetrius took off their clothes while wooing Helena, but I'd never seen female characters were torn off their clothes. That made me surprised, but now I think it was a good way to express Helena's embarrassment and Hermia's anger. 
Another example was when each lover got lost in the woods misled by Puck. In addition to Puck's misleading lines, there were elastic tapes throughout the stage in this production, by which the lovers had difficulty going through. It was interesting that Puck's supernatural power was expressed by such a handmade way.
A Midsummer Night's Dream is a popular play these days, but it is still fresh for me.



Popular posts from this blog

自己紹介 / Introducing myself

このブログを見てくれてありがとうございます。Rena Endoです。日本に住みながら、イギリスの大学院の博士課程(ディスタンスラーニングコース)に所属しています。 It's Rena Endo, living in Japan but attending a British university by distance learning. Research / Activity イギリス演劇を研究する大学院生・大学講師として、劇場と教室を繋ぐ存在になりたいです。その目標のための、学会発表や論文投稿、劇場でのレクチャーについて、お知らせや報告をしていきます。 I'm a PhD student studying the English drama and a Japanese theatre industry. I also teach at universities. My ambition is to be active at a classroom and at a theatre; I encourage students to enjoy stage productions (in addition to studying by turning a page), and I give academic (but not-too-formal) lectures to theatre enthusiasts at a theatre. I write about such activities in this blog. Theatre イギリス演劇以外にも、色々なジャンルの舞台芸術を鑑賞することが好きです。観劇の感想を投稿していきます。日本語と英語の両方で書いていくので、英語圏の友人にも読んでもらえたら嬉しいです。日本にはこんな舞台作品があるんだよ!と伝えたいです。 I enjoy seeing various kinds of theatre productions. When I see a performance, I write about what I see and how I think about it. The posts are written both in Japanese and in English, so I...

陽気な幽霊@シアタークリエ

2025年5月10日、シアタークリエにて『陽気な幽霊』を観劇(3時間、休憩込み)。 嚙み合わない会話や嫉妬によって笑える喜劇でしたが、終わり方はしっとりとしたものでした。二人の妻の霊を見送ったチャールズが、寂しそうで、でも解放されたようにも見え、印象的でした。この場面が特に心に残ったのは何故か思い返してみると、2021年にロンドンの Harold Pinter Theatreで観た上演 では、この場面がカットされていたからだと思います。その上演では、エルヴィラの霊をあの世に戻すことができず、ルースの霊まで呼び出してしまった、というところで終わっていたと思います。記憶が曖昧な部分もありますが、当時の観劇ノートを見返すと、マダム・アーカティの失敗が観客の笑いを誘って幕、と書いてあり、上演時間も40分ほど差があるので、そうだったはずです。『陽気な幽霊』を観るのはその時が初めてだったので、そのような終わり方をするものだと思い込んでいました。それなので、今回初めて観た最後の場面が、特に印象に残ったのだと思います。 笑いと感動の両方を楽しめた舞台、観ることができて良かったです。 On 10 May 2025, I saw and heard Blithe Spirit by Noël Coward at Theatre Creation in Tokyo.  The play, full of misunderstandings and jealous, was a hilarious comedy. However, the very last scene was a touching one. When the wives' spirits had gone, Charles looked sad but a little relieved. I wondered why this scene was especially touching for me, and I realised the past production that I saw at Harold Pinter Theatre in London (2021) didn't include this scene so it was fresh for me this time. In ...

Macbeth at The Attic Theatre

2022年4月9日、The Attic Theatreにて Macbeth を観劇(2時間20分、休憩込み)。2週連続で同じ作品を観たということで、先週グローブ座で観たものと比較してみたいと思います。グローブ座のマクベスについては こちらの記事 をご覧ください。(以下、ネタバレ注意です。) 似ていると思った点 グローブ座での上演と同じく、今回の上演でもドナルベインが登場しませんでした。役を少なく、あるいは劇を短くしなければならない事情は思い当たらなかったので、何故ドナルベインだけカットされたのだろうかと疑問に思いました。最近の上演の主流なのでしょうか…? 異なると思った点 今回の上演は、原文にはない戦いの場面から始まりました。その戦いで倒れた兵士の亡骸に魔女が食いつき、原文通りの1幕1場が続きました。そこで見せられた「魔女は亡骸が好き」という設定は、劇の終わり方にも反映されていました。最後の場面でマクダフがマクベスの首を持って登場しますが、今回の上演ではその首が残されたまま全員が退場します。そこで終演かと思っていたら、魔女が再び登場し、マクベスの首に食いついていました。間近で見ると怖い印象でしたが、魔女らしさが表現された演出だったと思います。 今回の上演で驚いた点 作品そのものとは関係ないのですが、休憩中に転換のため観客は全員外に出なければなりませんでした。そのようなことはこれまで経験したことがなかったので驚きました。舞台と客席が近く、幕のない劇場だからこそ、観客の退場が必要だったのだと思います。少し不便でしたが、これも劇場体験のうちと思えば、新鮮で面白かったです。 (Caution: this post includes the content of a production. If you're going to see the production, you might not want to read this post before you see it.) On 9 April 2022, I saw and heard Macbeth by William Shakespeare at The Attic Theatre. I saw the same play at Shakespeare's Globe in the previo...