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Adelaide Fringe 2024

アデレードフリンジに来ました。大好きなオーストラリアで演劇とアートのフェスティバルがあると知ってから、ずっと来てみたかったので、念願かなって嬉しいです。
I came all the way from Japan to Adelaide Fringe 2024!

街をあげてのイベント / A festival throughout Adelaide
空港に着いたらいきなりフリンジの看板があり、街をあげてのイベントだと思いました。
アデレード中で1ヶ月間、演劇とアートを楽しめるフェスティバルということで、アデレードはウェストエンドやブロードウェイのような劇場街なのかと思っていましたが、実際はそうではなく、飲食店やホテルでも上演がされるとのことでした。私が鑑賞した作品も、劇場以外の施設で上演されていました。どこでも気軽に作品を楽しめるっていいな。
また、アデレードフリンジの参加作品は、約1時間(休憩なし)に収まっていたものが多かったです。それなので、2日で4本もの芝居とトークショーを鑑賞することができました。観客は色々な会場を行き来するのかな、と思ったので、下の一覧に上演時間も書きました。
Upon arrival at Adelaide Airport, I found a big panel for Adelaide Fringe, so I thought it was a big event by/for the city.
The festival has more than 1,300 shows throughout and around Adelaide for a month, so at first I presumed the city was full of theatres like West End or Broadway, but actually most of the shows were hosted in various kinds of venues such as restaurants and hotels. 
Also, most of the shows were short - within one hour or so without an interval. Then I was able to see four shows in just two days. I imagined audiences might enjoy several shows in a day or a limited period as I did.

鑑賞した作品 / The shows I saw
-Completely Improvised Shakespeare at Dom Polski Jeden (3/15 20:45-21:40)
-2 Englishmen and an Aussie at Gala Room in The Austral Hotel (3/16 14:30-15:15)
-LIFE ALONE at Nineteen Ten (3/16 17:05-17:50)
-Great Detectives: All New Mysteries! at The Ball Room in Ayers House (3/16 19:30-20:40)

Completely Improvised Shakespeare
シェイクスピア風の芝居を5人の役者が即興で演じる作品でした。上演の最初に、シェイクスピアが書いていそうな(でも実際には書いていない)作品のタイトルを観客に叫ばせて、そのタイトルをもとに芝居が展開されます。私が観劇した日のタイトルは"Gentlewoman's Promise"でした。シェイクスピアらしい芝居を分かっていたり、相談もなしに即興で面白い芝居をつくれたり、役者のすごさを感じました。ところどころ初期近代の英語が話されていました。まるで新たに発見されたシェイクスピアの作品を観ているかのような、不思議な気分でした。
芝居はその場限りのものとよく言われますが、今回は即興劇なのでそれが特に当てはまります。上演の最初と最後に、これまで見たこともないしこれから再び見ることもないシェイクスピア劇、今日が初日で楽日です、ということが謳われていました。一度しか観られないのは残念ですが、一度限りの"Gentlewoman's Promise"を目撃できて嬉しかったです。
It was a Shakespeare-like (but not his) play improvised by five actors from Soothplayers. At the beginning of the performance, the players made audiences shout an imaginary title of a play that Shakespeare might have written (but actually not), and they improvised a play based on the title. When I attended, the chosen title was "Gentlewoman's Promise." I was surprised at how they grasped Shakespeare (or the conventional image of Shakespeare) and how they were innovative at the same time. They sometimes spoke in early modern English. I felt as if I had seen a newly-found play written by Shakespeare.
It is often said that a performance is ephemeral, and I thought it was true especially in the case of an improvised play. One pf the players said that was the opening night and also the closing night of "Gentlewoman's Promise." I wish I could see the play again, which was unfortunately impossible, but I was glad that I witnessed the play even if only once.

2 Englishmen and an Aussie
芝居だと思って行ったら、3人のコメディアンによるトークショーでした。スコットランドの女性、オーストラリアの男性、イングランドの男性が順に話をしていました(2 Englishmenというタイトルからはずれますが)。英語圏のジョークについていくことは難しかったですが、そういった背景知識のいらない話、例えば聞き間違いによる勘違いの話は万国共通で面白いと思いました。出演者の一人がCanadianとcomedianを聞き間違えて相手と話が噛み合わなかったというネタが面白かったです。
芝居の話し方とは異なり、早口の話し言葉でした。それなので前のめりになって一生懸命聞いていたら、出演者の一人に、動物園で珍種を見るような目で私を見ているねと声をかけられました。このような、出演者と聴衆の間の交流も楽しいと思いました。
I thought it was a play but actually it was a comedy showcase by three comedians. Despite the title, the speakers were a Scottish woman, an Aussie man, and an English man. It was a little hard for me to catch Anglophone jokes, but I enjoyed  other episodes in which there was no need for such knowledge. For example, an episode of misunderstandings between "Canadian" and "comedian" was funny.
Unlike actors in a play, the comedians spoke fast, so I tried to listen to them carefully, probably with a serious look. Then one of the comedians told me that I gazed at her as if she had been a rare animal at a zoo. I liked such an interaction between those on stage and audiences.

LIFE ALONE
2回の離婚を経験した女性が、自身の経験を語るショーでした。講演と一人芝居の間に位置付けられるような話し方でした。タイトルとポスターがHome Aloneのパロディーだったので、その映画のようなコメディーだと思っていましたが、出演者は自身のアイデンティティー(国籍やジェンダー)についての考えを真面目に話していました。
It was a story about a woman experienced divorces twice, told by herself. Her way of speaking sounded somethin between a speech in a lecture and a soliloquy in a drama. The title and the poster were the parody of those of Home Alone, so before the show, I thought it would be a comedy just like the movie, but actually it was more serious. The speaker told how she thought about her identity, such as nationality and gender.

Great Detectives: All New Mysteries!
リーディングアクト形式のミステリーでした。役者は台本を持っていましたが、動きもあり、音響効果も場面に合っていたので、臨場感がありました。1950年代が舞台のミステリーでしたが、古い邸宅のボールルームが会場だったので、雰囲気がありました。内容と会場が合っていたところは、5年前にシドニーのGenesian Theatreで観劇した、アガサ・クリスティーのTowards Zeroを思い出させてくれるものでした(その時の感想はこちらからどうぞ)。
It was a play-reading and the actors had scripts on their hands, but still it was dramatic, due to their acting and sound effects. It was a mystery set in 1950s, and the venue was an old ball room, so the genre of the play and the atmosphere of the venue matched. That reminded me of a performance of Agatha Christie's Towards Zero, which I saw at Genesian Theatre in Sydney five years ago.





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