Skip to main content

Macbeth at The Attic Theatre

2022年4月9日、The Attic TheatreにてMacbethを観劇(2時間20分、休憩込み)。2週連続で同じ作品を観たということで、先週グローブ座で観たものと比較してみたいと思います。グローブ座のマクベスについてはこちらの記事をご覧ください。(以下、ネタバレ注意です。)

似ていると思った点
グローブ座での上演と同じく、今回の上演でもドナルベインが登場しませんでした。役を少なく、あるいは劇を短くしなければならない事情は思い当たらなかったので、何故ドナルベインだけカットされたのだろうかと疑問に思いました。最近の上演の主流なのでしょうか…?

異なると思った点
今回の上演は、原文にはない戦いの場面から始まりました。その戦いで倒れた兵士の亡骸に魔女が食いつき、原文通りの1幕1場が続きました。そこで見せられた「魔女は亡骸が好き」という設定は、劇の終わり方にも反映されていました。最後の場面でマクダフがマクベスの首を持って登場しますが、今回の上演ではその首が残されたまま全員が退場します。そこで終演かと思っていたら、魔女が再び登場し、マクベスの首に食いついていました。間近で見ると怖い印象でしたが、魔女らしさが表現された演出だったと思います。

今回の上演で驚いた点
作品そのものとは関係ないのですが、休憩中に転換のため観客は全員外に出なければなりませんでした。そのようなことはこれまで経験したことがなかったので驚きました。舞台と客席が近く、幕のない劇場だからこそ、観客の退場が必要だったのだと思います。少し不便でしたが、これも劇場体験のうちと思えば、新鮮で面白かったです。

(Caution: this post includes the content of a production. If you're going to see the production, you might not want to read this post before you see it.)
On 9 April 2022, I saw and heard Macbeth by William Shakespeare at The Attic Theatre. I saw the same play at Shakespeare's Globe in the previous week, so I want to compare them in this post. As for Shakespeare's Globe's Macbeth, please see the post from this link.
(1) What was same between two productions was the absence of Donalbain. Is it the common way of doing in recent productions that Donalbain does not appear?
(2) What was different between two productions was characterisation of the Witches. This production began with the scene of a battle, which was not written in Shakespeare's original. After the battle, a corpse lay on the floor, and the Witches were attracted by it. Such a scene was repeated in the last scene. After Macduff brought Macbeth's head, all exited with leaving the head on the floor. Then the Witches came and being attracted by it again. It was scary but a good way to express the Witches' characterisation.
(3) What surprised me happened during the interval. Every audience had to be out of the small auditorium so that actors could change the sets on the stage. At first I thought it was annoying, but I changed my mind: it was new experience to me so I should enjoy theatre-going including the interval.



Popular posts from this blog

ナツユメ@KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ

2025年6月7日、KAAT神奈川芸術劇場大スタジオにて『ナツユメ』を観劇(1時間50分、休憩なし)。『夏の夜の夢』の翻案でした。 ロボットの少女ヘレナが、恋を知り、夢を見るというプロットで、ヘレナの夢という枠組みの中で物語が進みます。ヘレナは最初、私たちがイメージする典型的なロボットの動き方と話し方をしていて、役者の演技が上手だと思いました。ヘレナが恋を知った後も、基本的にはロボットなのですが、感情が高ぶった時には人間らしい動き方や話し方が見られて、その切り替わりの滑らかさが良いなと思いました。 ヘレナはロボットですが、ハーミアは人間です。そして二人は、シェイクスピアの原作通り、幼馴染みでした。ロボットのヘレナと人間のハーミアがどのようにして仲良くなったのか、物語が始まる以前のことを想像したくなりました。人間とロボットが一緒に暮らす未来が近いからかも、と思ってわくわくしました。 職人たちもロボットという設定でした。ロボットの劇団による演劇があったら面白そうだと思うので、こちらも近い未来を想像して楽しくなりました。シェイクスピアの原作でも「職人たちが公爵の御前で演劇!?」というところが面白いと思うので、意外性を持った劇団という意味では今回の上演における彼らも同じかもしれない、と思いました。 今回の上演で最も印象的だったのは、AIアバターがティターニアを演じていたことでした。「演じていた」と言っていいのか、「インプットされた状態で舞台上に存在していた」と言った方が良いのか、表現は難しいところですが、それだけ新しい試みだということです。人間が演じるロボットのヘレナと、そもそもAIアバターであるティターニアの、理由や効果の違いは何だろう?と考えるきっかけをくれる上演でした。ティターニアは、AIの有無にかかわらず、妖精の女王というだけで人間離れした存在です。そのことを表現するのに効果的な演出だったと私は思いましたが、答えは一つではないとも思いました。好きなように感じ取って良い、という上演だったと思うので、とても興味深かったです。 On 7 June 2025, I saw and heard Natsuyume at Kanagawa Arts Theatre in Yokohama. It was an adaptation of William Shakespeare...

イエローヘルメッツ公演のお知らせ&講演のお知らせ

シェイクスピア作品上演企画「イエローヘルメッツ」が、今年の夏も公演を行います。今年の作品は『マクベス』です。上演される機会の多い作品ですので、他の劇団や劇場で観て作品が気になったという方も、観たことがないからこそ気になるという方も、ぜひお越しください。 公演概要 イエローヘルメッツ vol. 4『マクベス』 2025年8月7日(木)~11日(月祝)@すみだパークシアター倉 詳細、チケットご購入は こちらから そして、8月7日(木)の公演終了後に行うイエローヘルメッツ解剖講座にて、今年も講師を務めます。シェイクスピアの『マクベス』の小田島雄志訳と、山崎清介さんによる『マクベス』の脚本を比較し、イエローヘルメッツがつくる「難しすぎず簡単すぎないシェイクスピア」を解説していきます。3回目(オンライン開催の回を含めれば5回目)となる講座、私も楽しみにしていますので、ご参加いただけると嬉しいです。 他にも、舞台上で素潜りシェイクスピア(ワークショップ)や、アフタートークが開催される回もあります。詳細はチラシ画像をご覧ください。 どうぞよろしくお願いいたします。

ヘンリー四世 第1部@ROCK JOINT GB

2025年5月31日、ROCK JOINT GBにて『ヘンリー四世 第1部』を観劇(85分、休憩なし)。イエローヘルメッツ番外公演として、ライブハウスで、5人の女優が、最小限の衣装と小道具で行うスタイルの上演でした。 イエローヘルメッツは昨年『リチャード二世』を上演していました。その時にボリングブルックを演じていた役者が、今回ヘンリー四世を演じていました。本で読んだ時、両作品におけるボリングブルック=ヘンリー四世は、同じ人物でありながら描写が異なるように思っていました。王としての苦労を経てきたからでしょうか。『リチャード二世』を観劇した時のボリングブルックの印象(立ち向かう側としての強さなど)と、今回のヘンリー四世の印象(王としての孤独や、やり場のなさなど)の違いが、舞台上で鮮やかに見えたので、役者の技量に感動しました。 5人で演じる歴史劇ということで、一人の役者が複数の役を担当していました。どの役者も、別の役を演じる時、表情や立ち方の変化が分かりやすかったので、衣装が変わらなくても混乱することなく楽しめました。 今回の『ヘンリー四世 第1部』だけでも良い上演だったと思いますが、『リチャード二世』も観ていた私はその時との繋がりを考えることでさらに興味深い観劇体験ができました。そうなると、『ヘンリー四世 第2部』も上演してくれたら嬉しいな、と期待してしまいます! On 31 May 2025, I saw and heard Henry IV, Part 1  by William Shakespeare at Rock Joint GB in Tokyo. It was played at a small venue, by five female actors, with simple black clothes (without changing costumes). They performed Richard II last year. The actor who played Henry Bolingbroke at that time played Henry IV this time. When I read both plays, I thought Bolingbroke and Henry IV were described diffe...