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Richard III at Royal Shakespeare Theatre

2022年6月23日、Royal Shakespeare TheatreにてRichard IIIを観劇(3時間5分、休憩込み)。シェイクスピアのHenry VI, Part 3に続く作品です。(以下、ネタバレ注意です。)
4月に観劇したWars of the Roses(タイトルが変えられていますが、Henry VI, Part 3にあたる作品です)は、続きが気になる終わり方をしていました。華やかなダンスの中、リチャードが意味ありげな微笑みを見せて暗転、という終わり方でした。今回のRichard IIIは、同じようなダンスから始まり、Wars of the Rosesの時と同じ役者によって演じられるリチャードの独白が続きました。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーがこの二作品を続き物として扱っている姿勢が伺える演出でした。
マーガレットの存在も印象的でした。マーガレットも、Wars of the Rosesの時と同じ役者によって演じられていました。Richard IIIだけを観劇すると、嘆き悲しみ恨みを吐くマーガレットは悲劇的な存在に見えます。しかしWars of the Rosesとともに観劇すると、マーガレットがプランタジネット家にしてきた行動が脳裏に浮かぶので、彼女は悲劇的な存在ではなくなります。観客の中でもマーガレットの見え方が変わってくるのは興味深いと思いました。
このように、続き物だからこその感想を持てた上演でした。

(Caution: this post includes the content of a production. If you're going to see the production, you might not want to read this post before you see it.)
On 23 June 2022, I saw and heard Richard III by William Shakespeare at Royal Shakespeare Theatre. It was the sequel of Wars of the Roses (i.e. Henry VI, Part 3).
Wars of the Roses ended with Richard's gloat during the dance. Richard III began with the same dance and Richard's soliloquy followed. I found such continuity interesting.
Margaret was impressive. If an audience saw Margaret in Richard III, she may look tragical. But if an audience saw both of these two plays, she may not look tragical, because the audience remembered what Margaret did in Wars of the Roses. Such comparison was possible because she was played by the same actor who played Margaret in Wars of the Roses.




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