Skip to main content

Posts

Showing posts from July, 2023

論文が出版されました

論文"How can we make Shakespeare more accessible in Japan?"が Cahiers Élisabéthains: A Journal of English Renaissance Studies に掲載され、オンラインで出版されました。"Hot Shakespeare, Cool Japan"と題された号で、シェイクスピアと日本という大きなテーマを、翻案や受容、翻訳まで様々な視点から切り込んでいく論文が集まっているようです。 私は日本の上演企画「子供のためのシェイクスピア」に注目し、2018年に上演された『冬物語』を取り上げ、同企画がもたらすシェイクスピア劇の面白さ、分かりやすさ、アクセスのしやすさを論じています。 Sage Journalsの購読がないと論文にアクセスできないのですが、大学や図書館を通してアクセス可能な方は、ご覧いただけると嬉しいです。詳細は こちらのページ からどうぞ。 My article titled "How can we make Shakespeare more accessible in Japan?" was included in Cahiers Élisabéthains: A Journal of English Renaissance Studies and published online. It is a special issue called "Hot Shakespeare, Cool Japan" and I'm proud of being part of it. I anaysed the production of The Winter's Tale (2018) by the Shakespeare for Children Company, a Japanese theatre company, and discussed the company's enjoyability, understandability, and accessibility to Shakespeare's plays. To access the article...

オイディプス王@パルテノン多摩

2023年7月17日、パルテノン多摩にて『オイディプス王』を観劇(2時間10分、休憩なし)。 コロスの台詞が印象的な上演でした。コロス役は16人いたのですが、個々のコロスによる台詞というのはほんの一部で、ほとんどの台詞は16人が声を揃えて言っていました。これは私にとって新しい体験で、はじめは戸惑いましたが、民衆の声を表したり、オイディプスへの呼びかけをダイナミックなものにしているのだなと徐々に思うようになりました。 (突然ですが他の上演企画と比較してみると…)シェイクスピア作品上演企画の イエローヘルメッツ では、コロスのような役割を持つ「黒コート」が登場します。語り手的な存在になったり、登場人物に話しかけたり、多様な役割を持つのですが、イエローヘルメッツの黒コートの台詞は、全員が声を揃えて言うものと、それぞれの黒コートが一行ずつ(あるいは句読点で区切って)言うものの二種類があります。この二種類のミックスに慣れていたので、前者の割合が多い『オイディプス王』は新鮮でした。 ギリシャ悲劇のコロスは他の作品でもそうなのか気になりました。これまでギリシャ悲劇は何本か観ていますが、気に留めていなかったので…ということはここまで声を揃えたコロスを観たり聴いたりしたことはなかったのだと思います。これからギリシャ悲劇を観劇する時にはコロスに注目したいです。 On 17 July 2023, I saw and heard Oedipus Tyrannus  at Parthenon Tama in Tokyo. There were 16 chorus members. I was surprised that the most of chorus's lines were spoken by them together, rather than each member speaks line by line.  I am familiar with the latter, because such a way of speaking is one of the theatrical strategy by the Yellow Helmets, my favourite theatre company in Japan. I wondered if chorus...

WEST SIDE STORY@東急シアターオーブ

2023年7月12日、東急シアターオーブにて『WEST SIDE STORY』を観劇(2時間35分、休憩込み)。 『WEST SIDE STORY』を観るのは2回目でした。前回、4年前に シドニーで観劇した時 には「足は上がる、跳ぶ」と語彙力の乏しい感想を持っていたのですが、その時持った感想と同じく、今回もダンスが興味深いと思いました。というのは、バレエっぽい作品だと思ったからです。振り付けの一部がバレエ風というのもあるのですが、それだけでなく、言葉や歌に頼らずに振り付けや動きで表現する場面があったからです。最初に挑発する場面などがそれに当てはまると思いました。 そうは言っても、主要な登場人物の心情を表す場面では名曲の数々が聴かせどころだったと思うので、やはりミュージカルだなと思いました。 On 12 July 2023, I saw and heard a musical West Side Story at Tokyu Theatre Orb in Tokyo. I found the dance amazing, same as when I saw and heard the musical four years ago in Sydney. I thought the musical had a flavour of ballet, because actors sometimes expressed their feelings by dancing instead of singing. For example, there were no lyrics when there was a fight at the beginning of the musical. That being said, the musical included a lot of famous songs, which I also found wonderful.

夏の夜の夢@紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

2023年7月1日、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて『夏の夜の夢』を観劇(2時間30分、休憩込み)。以下、ネタバレ注意です。 舞台装置が印象的でした。舞台の奥行きを利用して、大・中・小の三つのアーチがありました。『夏の夜の夢』における三つの世界(貴族・職人・妖精)を表しているように見えました。また、それぞれのアーチには薄い幕がついていて、場面によって降ろせるようになっていました。三枚の薄い幕が重なると、照明の当て方によっては舞台上の人物の影が三重に見えることもあり、パックの身軽さや森で迷う恋人たちを表すのに効果的だったと思います。 (Caution: contains a spoiler.) On 1 July 2023, I saw and heard A Midsummer Night's Dream by William Shakespeare at Kinokuniya Southern Theatre Takashimaya in Tokyo. There were three arches on stage. The set was impressive for me because I thought they alluded to three groups of characters in the play: lovers, mechanicals, and fairies. Also, each arch had semitransparent curtains. When the light was shed from upstage through these curtains, characters' shadows were tripled. I thought it was effective to express Puck's agility and the lovers' confusion in the wood.

ある馬の物語@世田谷パブリックシアター

2023年6月28日、世田谷パブリックシアターにて『ある馬の物語』を観劇(2時間20分、休憩込み)。以下、ネタバレ注意です。 トルストイの小説が原作の音楽劇でした。タイトルの通り、馬が主人公です。馬だけを演じる役者、人間だけを演じる役者、馬と人間の両方を演じる役者がいました。配役が興味深かったです。例えば、雌馬Aはある牡馬を裏切り、女性Bはある男性を裏切るという共通点がある時、それらの役は同一の役者によって演じられていました。また、人間の役のダブリングも同様に、ある登場人物が人間Cを人間Dに重ね合わせて見る時、それらの役が同一の役者によって演じられていました。このような配役は、今回の演出家の意図ではなく、台本の時点で指示されていたそうです。作家(トルストイではなく舞台版の台本を書いたロゾフスキー)は、演出家に近い役割だったのかなと思いますが、あて書きだったそうなので、頷けるような気がします。 (Caution: contains a spoiler.) On 28 June 2023, I saw and heard a play based on Leo Tolstoy's novel, Kholstomer , at Setagaya Public Theatre in Tokyo. It was a story of a horse, so some actors played both horses and humans. I found the casting strategy interesting. For example, when a female horse betrays a male horse and a woman betrays a man, these female roles are played by the same actress. Also, when a human character reminds of another, these roles are played by the same actor. I heard that this casting strategy was the playwright's decision, not a director's. I thought tha...