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SHINE SHOW!@シアタークリエ

2023年8月23日、シアタークリエにて『SHINE SHOW!』を観劇(2時間50分、休憩込み)。以下、ネタバレ注意です。

バックステージもののコメディー
会社対抗のど自慢大会の舞台裏と舞台上を描く、バックステージもののシチュエーション・コメディーでした。のど自慢大会出場者役の役者が歌うので、音楽を伴ってはいましたが、ミュージカルというよりシチュエーション・コメディーだと、公演プログラムに書いてありました。確かに、登場人物の心境の変化を歌で伝えるミュージカルというよりも、舞台裏と舞台上でのドタバタを描いたコメディーという方がしっくりくる作品でした。
バックステージもののコメディーと言えば、2015年と2018年に観劇したミュージカル『HEADS UP!』を思い出しました。ミュージカルの舞台裏を描くか、イベントの舞台裏を描くかという違いはありましたが、ステージに賭けるスタッフや出演者の思いを描くというところは同じだと思います。どちらの作品も楽しめたので、私はバックステージものが好きなのだなと再認識しました。

脚本について
のど自慢大会が舞台ということで、邦楽のヒット曲がたくさん流れていました。懐かしい曲から最新の曲まで、どの世代の観客にも響くものがあると思いました。また、単なるヒットメドレーというわけではなく、各場面に合った選曲がなされていたので、脚本が良く出来ていると思いました(誰がどの場面で何の曲を歌うかは、演出ではなく脚本の時点で指定されていたそうです)。

演出について
話のプロットも面白かったですが、劇場を訪れた観客が、のど自慢大会の聴衆であるかのような気持ちで参加できるという趣向も良かったです。例えば、のど自慢大会の司会者役の役者が、開演前と終演後の場内アナウンスを行うなど、シアタークリエが大会の会場のようになっていました。のど自慢大会では、意外な人物が優勝したので(私の予想は外れました)、誰か優勝するかドキドキしながら待つというところも大会らしいと思いました。

チケット代は少し高かったですが、豪華キャストの歌をたくさん聴けるコンサートやショーのようなものだと思えば、妥当かとも思います。そして脚本と演出も良かったので、満足です。

(Caution: contains a spoiler.)
On 23 August 2023, I saw and heard Shine Show! at Theatre Creation in Tokyo.
(1) Genre: It was a comedy, showing backstage and onstage of an amateur karaoke contest. Actors who played competitors sang songs, so of course there was music, but the production was labelled as a comedy rather than a musical, according to the programme. I found it plausible because musicals are in which songs show characters' changeable feelings and comedies focus on situations rather than feelings, and the production was the latter. Focusing on backstage, it reminded me of Heads Up!, a Japanese musical. I enjoyed both, so I think I like backstage plays (including musicals) a lot.
(2) Playscript: As it was a story about karaoke contest, there were a lot of Japanese popular songs. Every generation among audience seemed to enjoy these songs. That being said, it was not just a collection of hits but the selection and allocation of songs were good, because each song matched each scene. Then, I though the playscript was well written; the allocation of songs was the playwright's decision, not the director's.
(3) Direction: The director's strategy was also interesting. Audience attending the play was treated as if they were listeners of the contest and the theatre turned into the venue of the contest. For example, the actor who played the host of the contest delivered pre-show and post-show announcements. Also, guessing who to be the winner of the contest was an exciting moment among audience.
Although the ticket cost a lot, it was worthy because we were entertained by many famous actors' singing. It was like a gorgeous concert or a show. In addition, the playscript and direction were wonderful.



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このブログを見てくれてありがとうございます。Rena Endoです。日本に住みながら、イギリスの大学院の博士課程(ディスタンスラーニングコース)に所属しています。 It's Rena Endo, living in Japan but attending a British university by distance learning. Research / Activity イギリス演劇を研究する大学院生・大学講師として、劇場と教室を繋ぐ存在になりたいです。その目標のための、学会発表や論文投稿、劇場でのレクチャーについて、お知らせや報告をしていきます。 I'm a PhD student studying the English drama and a Japanese theatre industry, and my ambition is to be active at a classroom and at a theatre; I encourage students to enjoy stage productions (in addition to studying by turning a page), and I give academic (but not-too-formal) lectures to theatre enthusiasts at a theatre. I write about such activities in this blog. Theatre イギリス演劇以外にも、色々なジャンルの舞台芸術を鑑賞することが好きです。観劇の感想を投稿していきます。日本語と英語の両方で書いていくので、英語圏の友人にも読んでもらえたら嬉しいです。日本にはこんな舞台作品があるんだよ!と伝えたいです。 I enjoy seeing various kinds of theatre productions. When I see a performance, I write about what I see and how I think about it. The posts are written both in Japanese and in English, so I'll be happy if English-...