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Showing posts from August, 2022

The Merchant of Venice at The Dell

2022年8月27日、The Dellにて The Merchant of Venice を観劇(1時間30分、休憩なし)。 今回の演出では、アントーニオが女性として登場し、アントーニアと呼ばれていました。原作でのアントーニオとバッサーニオの関係は友情なのか同性愛なのかという議論がありますが、今回アントーニオの性別を変更しても、二人の関係は異性愛ではなく友情のように見えました。それでは何故アントーニオの性別を変更したのか、意図は分かりませんでしたが、笑いを誘う効果はあったと思います。具体的には第4幕第1場、裁判の場面で、バッサーニオとグラシアーノーが「君を救えるなら大切な妻を悪魔にくれてやってもいい」「君を救えるなら妻が死んでくれてもいい」などと言います。ポーシャとネリッサは女性であるアントーニアへの愛情と天秤にかけられたわけで、嫉妬や皮肉を含んだ二人の反応はより痛烈なものとなりました。 On 27 August 2022, I saw and heard The Merchant of Venice by William Shakespeare at The Dell. In this production, Antonio was changed into a female character and called Antonia. There is a discussion whether the relationship between Antonio and Bassanio is friendship or homosexuality. At first, I assumed the company changed Antonio's gender to answer this discussion. However, in this production, their relationship looked like friendship rather than heterosexuality. Then I was not sure why the company made the change, but I thought it was effective to make act 4 scene 1 more interesting. I...

All's Well That Ends Well at Royal Shakespeare Theatre

2022年8月25日、Royal Shakespeare Theatreにて All's Well That Ends Well を観劇(2時間35分、休憩込み)。以下、ネタバレ注意です。 ヘレナの力強さが印象的でした。バートラムに振り向いてもらえなくても諦めないヘレナは、演出によって、純粋で一途な女性にも、強くて賢い女性にもなり得ます(突然の比較ですが、『から騒ぎ』の二人のヒロインで例えると、前者がヒアロー、後者がビアトリスのようだと思いました)。これまで私が見てきたヘレナは前者ばかりでしたが、今回は後者だったと思います。新しいヘレナ像を見せてもらえました。 (Caution: this post includes the content of a production. If you're going to see the production, you might not want to read this post before you see it.) On 25 August 2022, I saw and heard All's Well That Ends Well by William Shakespeare at Royal Shakespeare Theatre. The most impressive thing for me was the strong characterisation of Helena. Helena, who is rejected by Bertram but never gives up his love, can be a pure and single-minded woman or a wise and strong woman (I think the former is like Hero and the latter is like Beatrice in Much Ado About Nothing ). As for Helena, I have seen the former several times but it was my first time to see the latter.

イギリスのパンケーキ / English Pancakes

大家さんが手づくりのパンケーキをおすそ分けしてくれました。日本のものより薄く、クレープの皮のようで驚きましたが、美味しかったです。私はメープルシロップをかけて食べましたが、イギリスでは食べ方が色々で、ジャムやチョコレートを塗ったり、フルーツを乗せて食べたりするそうです。 My landlady made pancakes for me. They were much thinner than Japanese ones. That made me surprised but they tasted good. I had them with maple syrup, but she told me English people also have them with jam, chocolate cream, fruits, and so on. 

Twelfth Night at The Dell

2022年8月13日、The Dellにて Twelfth Night を観劇(1時間15分、休憩なし)。入場無料、予約不要で誰でも気軽に観られる屋外上演シリーズの一つです。気軽に観られるといってもこの日はとても暑く、屋外劇場なので観客は少ないだろうなと想像して行ってみたら…かなりの人数がいました!日陰のシートは人でいっぱいだったので、少し離れた木の下から観劇しました。こんな日でもたくさんの観客が集まるなんて、皆さん演劇が好きなんですね。上演前に劇団の人が観客に日傘を貸し出す場面もありました。写真に写っている虹色の傘がそれです。劇団の気配りもいいなと思いました。 On 13 August 2022, I saw and heard Twelfth Night by William Shakespeare at The Dell. It was so hot on the day of the performance, so I had assumed there would be few audiences in the open air theatre. However, there were many audiences in fact. I was surprised how many audiences attended the performance on such a hot day. I couldn't find where to sit in the shade near the stage, so I was standing under a tree far from the stage. Before the performance began, the company lent umbrellas to audiences. I thought they were kind to audiences.

Midsummer Mechanicals at Sam Wanamaker Playhouse

2022年8月12日、Sam Wanamaker Playhouseにて Midsummer Mechanicals を観劇(2時間、休憩込み)。シェイクスピアの A Midsummer Night's Dream に登場する職人たちに焦点を当てたスピンオフ作品です。物語の舞台は「ピラマスとシスビー」の上演から一年後、ボトムやクィンスをはじめとする職人たちが新作の芝居を上演するというプロットです。劇中劇の内容は機織り職人と妖精の女王の恋物語、つまり A Midsummer Night's Dream でのボトムとティターニアの物語に少し脚色を加えたものでした。 二年連続で女役を演じることにフルートが難色を示したり、演技力のなさからスナッグがクビになってしまったりと、新作の上演は難航します。観客は家族連れがほとんどでしたが、芝居づくりの過程を子供たちに見せることで、その難しさとそれに伴う面白さを教える効果があったのかなと思いました。 スナウトは女性に変更されていました。そんなスナウトを含む職人たちが劇を上演しようとすると、必然的に「女性は舞台に立てない」という議論が登場します(結局、スナウトは男装して舞台に立ちました)。当時の演劇の慣習も含まれていて、教育的側面もある脚本だと思いました。 観客の反応で驚いたのは、子供たちがピラマスとシスビーの物語を知っていたり、ボトムがロバの頭にされてしまうという原作のプロットを知っていたりと、かなりの知識を持っていたことです。そのような知識の前提があるからこそ、原作から一年後のスピンオフ作品が可能になったのだと思います。 家族連れに紛れて、私はかなり浮いた観客でしたが、それでも楽しめました。 On 12 August 2022, I saw and heard Midsummer Mechanicals by Kerry Frampton and Ben Hales at Sam Wanamaker Playhouse. It was a spin-off of Shakespeare's A Midsummer Night's Dream . In the plot, the mechanicals perform a new play in the following year of their...

Shoreditch Church

ロンドンにあるShoreditch Churchを訪れました。Actor's Churchと呼ばれていて、The Theatreを建てたジェイムズ・バーベッジ、その息子でありシェイクスピアの劇団で活躍した俳優のリチャード・バーベッジ、道化役者のリチャード・タールトンらが埋葬されている教会です。 一見、モニュメントのようなものもなく、本当にActor's Churchなのか?と思ってしまいましたが、勇気を出してスタッフの人に尋ねてみたら、奥の部屋へ案内してもらうことができ、埋葬されている演劇関係者一覧のプレートを見ることができました。もっと目立つ場所に設置すれば良いのにと思ってしまいましたが、見せてもらえて良かったです。 I visited Shoreditch Church in London. It is called an actor's church, where James Burbage, who built The Theatre, Richard Burbage, who was his son and played in Shakespeare's company, Richard Tarlton, a clown actor, and other theatre-related people in the Elizabethan period were buried. At first, I couldn't find any monument which celebrated them. However, when I asked a staff member, he took me to another room whose door required a staff's ID card, and there I found a plaque which listed who were buried in the church. I think they shouldn't put the plaque in such a hidden room, but anyway I was lucky to see the plaque.

The BBC Proms at Royal Albert Hall

2022年8月11日、Royal Albert HallにてBBC Promsを鑑賞しました。いつも観劇ばかりですが、たまには音楽鑑賞も良いですね。 BBC Proms BBC Promsとは、BBCが主催するクラシック音楽のコンサートで、毎年7月から9月にかけて連日行われています。イギリス人の大家さんいわく、夏の風物詩だそうです。 一夜限りの演目 演劇好きな私は、「連日行われるクラシック音楽のコンサート」と聞いて、てっきり同じ楽曲が毎日演奏されるのだと思い込んでいました。演劇は、一つの作品がロングランで上演されたり、シーズン単位で上演されたりするからです。しかしBBC Promsは、毎日異なる楽曲が演奏されると知って驚きました(売店で売られている公演プログラムも日ごとにつくられたものでした!)。クラシック音楽ファンは、好きな楽曲を求めて複数回通うのでしょうか。私が参加した日は、エルガーのCello Concerto in E minor 27'とシベリウスのSymphony No. 2 in D major 43'が演奏されました。 Royal Albert Hall 会場となったRoyal Albert Hallは、5,000人以上収容できる、かなり広いホールです。1階のアリーナ席は立ち見席だったので、ロンドンのグローブ座と似ていると思いました。それを囲う着席型の座席は、4階席までありました。高さも広さもあり、似ているとはいえグローブ座よりはるかに大きい会場です。クラシック音楽のコンサートというと敷居が高いように思っていましたが、大勢で楽しむコンサートという意味では音楽フェスのような雰囲気でした。 On 11 August 2022, I enjoyed the BBC Proms at Royal Albert Hall. The BBC Proms is a series of classical music concerts. It is held from July to September everyday annually. My landlady said that it is like a summer festival.  I, a theatre-goer, mistakenly thought that the same p...

Much Ado About Nothing at National Theatre

2022年8月6日、National Theatreにて Much Ado About Nothing を観劇(2時間40分、休憩込み)。Royal Shakespeare Company、Shakespeare's Globe、National Theatreという三つの大きな劇団(劇場)が同じ年に同じ作品を立て続けに上演しているので、作品選びのトレンドが気になります。Royal Shakespeare Companyの上演の感想は こちら 、Shakespeare's Globeで観劇した時の感想は こちら からどうぞ。 なるべく客観的な感想:レオナートとアントーニア 今回の上演では、レオナートの弟(兄)・アントーニオが女性化されていて、アントーニアと呼ばれていました。それは他の上演でも見たことがありましたが、今回の上演で新たな解釈だと思ったのは、アントーニアがレオナートの妹(姉)ではなく妻として扱われていた点です。この解釈によって、ヒアローには片親ではなく両親がいることになります。原作のレオナートの台詞のいくつかは、アントーニアによって発せられていました。どの台詞をアントーニアに渡し、どの台詞をレオナートに残すかの選択が興味深かったです。ヒアローの縁談を進めようとする台詞はアントーニアの台詞となっていて、ヒアローの貞節を気にする台詞はレオナートの台詞のままでした。このような分け方によって、アントーニアは娘の結婚を気にする母親、レオナートは家族の名誉を重視する父親という人物像が出来上がっていました。 主観的な感想:アーシュラ 演じたことがある役として、侍女のアーシュラにはいつも注目してしまいます。Shakespeare's Globeでの上演では役がカットされていて寂しい思いをしましたが、今回の上演でも、カットこそされなかったものの出番は少なかったです。具体的には第3幕第1場で、原作ではもう一人の侍女・マーガレットがビアトリスを呼びに行き、ヒアローとアーシュラがビアトリスを騙します。個人的には、アーシュラの一番の見せ場だと思っています。そんな第3幕第1場ですが、今回の上演では、マーガレットとアーシュラの役割が入れ替わっていました。アーシュラはビアトリスを呼びに行くだけで、ビアトリスを騙すという見せ場はマーガレットに持っていかれてしまいまし...

The Seagull at Harold Pinter Theatre

2022年8月5日、Harold Pinter Theatreにて The Seagull を観劇(2時間35分、休憩込み)。チェーホフの『かもめ』は3年に1回のペースで観劇していますが、これまでに見たことのない演出でした。現代に置き換えられ、台詞も少し書き加えられていたので、アダプテーションと言えるかもしれません。 舞台セットは椅子しかなく、演技は最小限に抑えられていました。チェーホフの作品はプロットに大きな動きがないとよく言われますが、そこからさらに演技も舞台セットもそぎ落とされ、残ったのは登場人物の感情のみだと個人的には思いました。その感情というのが、コンスタンティンの絶望なのか、ニーナの諦めなのか…誰のどのような感情なのかは、観客にゆだねられていると思いました。 On 5 August 2022, I saw and heard The Seagull by Anton Chekhov at Harold Pinter Theatre. It was an adaptation written by Anya Reiss. They used only chairs as props and they had minimum acting. It is said that Chekhov's works don't have dramatic plots. When they got rid of acting and props from one of such Chekhov's works, what remained was characters' emotion, I think. It might be Konstantin's desperation, or Nina's resignation, or...it depended on how each audience felt.